
宮崎県感染症発生動向調査2016年第48号
第18巻48号[宮崎県第48週(11/28〜12/4)全国第47週(11/21〜11/27)]
宮崎県感染症週報
宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所
宮崎県第48週の発生動向
トピックス
- インフルエンザ(定点把握対象)の第48週(11/28〜12/4)の定点当たりの報告数は1.03と、流行期の目安となる1.0を上回りました。昨シーズンと比較して5週早い流行期入りです。詳細後述。
- 感染性胃腸炎(定点把握対象)の第48週(11/28〜12/4)の定点当たりの報告数は20.8と、流行警報開始基準値(20.0)を上回りました。詳細後述。
全数報告の感染症(48週までに新たに届出のあったもの)
- 1類感染症:報告なし。
- 2類感染症:結核4例。
- 3類感染症:報告なし。
- 4類感染症:つつが虫病9例。
- 5類感染症:カルバペネム耐性腸内細菌感染症1例、播種性クリプトコックス症1例。

全数把握対象疾患累積報告数(2016年第1週〜48週)

( )内は今週届出分、再掲
定点把握の対象となる5類感染症
定点医療機関からの報告総数は1,204人(定点当たり38.1)で、前週比146%と増加した。前週に比べ増加した主な疾患はインフルエンザと感染性胃腸炎で、減少した主な疾患はなかった。
インフルエンザ・小児科定点からの報告
【インフルエンザ】
報告数は61人(1.0)で、前週比254%と増加した。例年同時期の定点当たり平均値*(0.20)の約5.2倍であった。日南(8.0)、中央(2.0)、高千穂(1.0)保健所からの報告が多く、年齢別は5〜9歳が全体の約半数を占めた。
【感染性胃腸炎】
報告数は750人(20.8)で、前週比144%と増加した。例年同時期の定点当たり平均値*(17.2)の約1.2倍であった。中央(42.0)、小林(33.0)、日南(26.7)保健所からの報告が多く、年齢別は別グラフに示す。

*過去5年間の当該週、前週、後週(計15週)の平均値
基幹定点からの報告
○無菌性髄膜炎:日南保健所から報告があった。10歳代が1例であった。
○マイコプラズマ肺炎:宮崎市(2例)、延岡(1例)保健所から報告があった。0〜4歳が1例、5〜9歳が2例であった。
保健所別 流行警報・注意報レベル基準値超過疾患
病原体検出情報(衛生環境研究所微生物部 平成28年12月5日までに検出)
細菌
ウイルス

○幼児1名から単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)が分離された。HSVには2種類の型があり、顔、口唇、眼などに感染するのは主にHSV-1、性器などに感染するのは主に単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)といわれているが、この区別は厳密なものではなく、性器ヘルペスの病変からも、HSV-1が分離されることがある。HSVが起因する重要な疾患としてヘルペス脳炎がある。国立感染症研究所によるとHSV-1あるいはHSV-2の初感染時または再活性化時に発症し、発症年齢(新生児、年長児、成人)によってその病態は異なるということが報告されている。
○乳幼児3名からエコーウイルス9型が分離され、そのうち1名は無菌性髄膜炎であった。2013年にエコーウイルス9型による無菌性髄膜炎の地域流行もあったことから今後の動向に注意が必要である。
○手足口病と診断された幼児4名、ヘルペス口内炎と診断された幼児1名からコクサッキーウイルスA16型が分離された。
全国2016年第47週の発生動向
全数報告の感染症(全国第47週)
定点把握の対象となる5類感染症
定点医療機関当たりの患者報告総数は前週比99%とほぼ横ばいであった。前週と比較して増加した主な疾患はインフルエンザと水痘であった。減少した主な疾患はRSウイルス感染症とA群溶血性レンサ球菌咽頭炎であった。
インフルエンザの報告数は8,843人(1.8)で前週比130%と増加した。例年同時期の定点当たり平均値*(0.42)の約4.3倍であった。沖縄県(9.1)、栃木県(5.8)、福井県(5.4)からの報告が多く、年齢別では9歳以下が全体の約4割を占めた。
感染性胃腸炎の報告数は40,607人(12.9)で前週比98%とほぼ横ばいであった。例年同時期の定点当たり平均値*(8.2)の約1.6倍であった。宮城県(32.8)、山形県(23.5)、三重県(20.8)からの報告が多く、年齢別では5歳以下が全体の約6割を占めた。
* 過去5年間の当該週、前週、後週(計15週)の平均値
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