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宮崎県感染症情報センター

宮崎県感染症発生動向調査2025年第15号

第27巻第15号 [宮崎県第15週(4/7〜4/13) 全国第14週(3/31〜4/6)]


宮崎県感染症週報

宮崎県感染症情報センター
宮崎県薬務感染症対策課
宮崎県衛生環境研究所

令和7年第15週の発生動向

トピックス
  • 感染症発生動向調査(定点把握)の変更について
    厚生科学審議会感染症部会での審議を経て感染症法施行規則の改正により、令和7年4月7日から、感染症発生動向調査(定点把握)の取扱いが一部変更となります。
    1. 定点医療機関数の変更
      定点医療機関については第14週までは、内科定点22カ所、小児科定点36カ所でしたが、第15週以降は、内科定点13カ所、小児科定点15カ所に変更になります。
    2. 急性呼吸器感染症(Acute Respiratory Infection:ARI)の定点把握開始
      急性呼吸器感染症が感染症法上の5類感染症に位置付けられ、定点把握の対象に追加されました。急性呼吸器感染症の定点把握は、症例定義※に一致する患者数の発生を把握する症候群の調査です。
      ※咳嗽、咽頭痛、呼吸困難、鼻汁、鼻閉のいずれか1つ以上の症状を呈し、発症から10日以内の急性的な症状であり、かつ医師が感染症を疑う外来症例。
      急性呼吸器感染症の報告数については、感染症週報第16号(4月24日発行分)から記載予定です。
  • 百日咳(2018年から全数把握対象疾患)
    15週までの診断週による累計報告数が380例となりました。報告が最も多かった2018年(318例)の報告数を超え、第15週時点で過去最多となっています。年齢群別では、10〜14歳が全体の約6割を占めています。また、保健所別では宮崎市保健所管内からの報告が最も多く84例となっています。

全数報告の感染症(15週までに新たに届出のあったもの)
  • 1類感染症:報告なし。
  • 2類感染症:結核1例。
  • 3類感染症:報告なし。
  • 4類感染症:つつが虫病1例。
  • 5類感染症:侵襲性肺炎球菌感染症1例、梅毒5例、百日咳68例。

全数把握対象疾患累積報告数(2025年 第1週〜第15週 保健所受理分)

(   )内は今週届出分、再掲

定点把握の対象となる5類感染症

・定点医療機関からの報告総数は468人(定点当たり28.5)であった。

【新型コロナウイルス感染症】

報告数は50人(1.8)であった。年齢群別では60歳以上が全体の約3割を占めた。

【感染性胃腸炎】

報告数は282人(18.8)であった。例年同時期の定点当たり平均値*(10.0)の約1.9倍であった。年齢群別は3歳から4歳が全体の約2割を占めた。

*新型コロナウイルス感染症流行前5年間(2015−2019)の
当該週、前週、後週(計15週)の平均値

基幹定点からの報告

○感染性胃腸炎(ロタウイルス):報告数は1例(定点当たり0.1)で、宮崎市(1例)保健所から報告があった。年齢は5〜9歳が1例で、病原体の群別は不明であった。

保健所別 流行警報・注意報レベル基準値以上の疾患

病原体検出情報(衛生環境研究所微生物部 令和7年4月14日までに検出)

細菌

報告なし

ウイルス

○13歳の女児からRotavirus A G3が検出された。A群ロタウイルス(以下、RVA )は乳幼児における感染性胃腸炎の主要な原因ウイルスであり、衛生環境によらず世界中に広く存在している。RVAの遺伝子型は多彩であるが、今回検出されたG3型は、日本国内では、2016年頃から流行しているequine-like G3型であった。RVAはエンベロープを持たないため、アルコール消毒の効果が低く、次亜塩素酸ナトリウム等による消毒が有効である。

新型コロナウイルスゲノム解析結果情報(衛生環境研究所微生物部)

○第10-14週は全てがXEC系統であった。

※XECはKS.1.1とKP.3.3の組換え株で、現在、日本、欧米で流行している。
ゲノム解析は概ね前週の検体を用いて実施している。なお、解析検体数が多くない場合は割合の変動が大きくなる。
衛生環境研究所においては、県内医療機関の協力のもと、新型コロナウイルスのPCR陽性となった検体を毎週収集し、ゲノム解析を実施している。

全国2025年第14週の発生動向

全数報告の感染症

定点把握の対象となる5類感染症

定点医療機関当たりの患者報告総数は前週比80%と減少した。なお、前週と比較して増加した主な疾患は特になく、減少した主な疾患はインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、RSウイルス感染症及び感染性胃腸炎であった。

新型コロナウイルス感染症の報告数は10,132人(2.1)で前週比73%と減少した。新潟県(4.4)、山形県(4.1)、長野県(3.9)からの報告が多く、年齢群別では60歳以上が全体の約4割、15歳未満が全体の約2割を占めた。

感染性胃腸炎の報告数は19,251人(6.4)で前週比81%と減少した。例年同時期の定点当たり平均値*(5.5)の約1.2倍であった。大分県(13.5)、宮崎県(13.2)、香川県(12.8)からの報告が多く、年齢群別では1歳から2歳が全体の約2割を占めた。

* 新型コロナウイルス感染症流行前5年間(2015−2019)の
当該週、前週、後週(計15週)の平均値

月報告対象疾患の発生動向 <2025年3月>

性感染症

【宮崎県】 定点医療機関総数:13
定点医療機関からの報告総数は33人(2.5)で、前月比87%と減少した。また、昨年3月(1.9)の約1.4倍であった。

《疾患別》

  • 性器クラミジア感染症:報告数21人(1.6)で、前月の約0.9倍、昨年3月の約1.9倍であった。20歳代が全体の約6割を占めた。(男性7人・女性14人)
  • 性器ヘルペスウイルス感染症:報告数8人(0.62)で、前月の0.8倍、昨年3月の1.6倍であった。(女性8人)
  • 尖圭コンジローマ:報告数1人(0.08)で、昨年3月の0.5倍であった。(女性1人、前月報告なし)
  • 淋菌感染症:報告数3人(0.23)で、前月の0.6倍、昨年3月の0.5倍であった。(男性3人)

【全国】
定点医療機関からの報告総数は4,132人(4.3)で、前月比112%と増加した。疾患別報告数は、性器クラミジア感染症2,182人(2.3)で前月比109%、性器ヘルペスウイルス感染症871人(0.90)で前月比118%、尖圭コンジローマ505人(0.52)で前月比116%、淋菌感染症574人(0.59)で前月比109%であった。

薬剤耐性菌

【宮崎県】 定点医療機関総数:7
定点医療機関からの報告総数は12人(1.7)で、前月比60%と減少した。また、昨年3月(1.7)の約0.5倍であった。

《疾患別》

  • メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症:報告数12人(1.7)で、前月の約0.6倍、昨年3月の約0.5倍であった。70歳以上が全体の約8割を占めた。
  • ペニシリン耐性肺炎球菌感染症:報告なし。
  • 薬剤耐性緑膿菌感染症 :報告なし。

【全国】
定点医療機関からの報告総数は1,418 人(3.0)で、前月比106%と増加した。疾患別報告数は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症1,339 人(2.8)で前月比107%、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症72人(0.15)で前月比94%、薬剤耐性緑膿菌感染症7 人(0.01)で前月比100%であった。

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