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第56代宮崎県知事
河野 俊嗣(こうの しゅんじ)
ユネスコ無形文化遺産への「神楽」の登録を目指し、今年3月24日、私が発起人となり、全国24道県知事で構成する「神楽継承・振興知事連合」を立ち上げました(4月末時点で25道県)。
今後、神楽保存団体からなる「全国神楽継承・振興協議会」など、全ての関係者の力を結集し、総決起大会の開催や国への要望活動などを実施し、早期登録を目指してまいります。
神楽は、全国各地で4,000以上が現存しています。学術的、文化的価値に加え、保存・継承の取り組みが地域社会の絆の維持や活性化につながるなど、世界に誇る我が国固有の貴重な文化財です。
本県の神楽は、天孫降臨の神話や農耕文化と深く結びつき、地域ごとに異なる特色を持っています。夜を徹して舞い続ける夜神楽や、神話を題材にした劇的な演目など、地域の人々が世代を超えて一体となって奉納する様子は、地域社会の根幹を支える文化そのものです。
しかし、この大切な文化が、人口減少や過疎化の進行により保存継承の危機に直面しています。数百年にわたり守られてきた神楽を次世代へつなぐことは、現代に生きる私たちの責務です。
ユネスコ無形文化遺産への登録は、世界中の人々に神楽の価値を知っていただくだけでなく、地域の人々がその文化を守り、育て、次世代へと引き継ぐための大きな後押しとなるもの。すでに登録された「風流踊(五ヶ瀬の荒踊など)」や「伝統的酒造り(焼酎、日本酒など)」でも、関係者の士気や意欲が高まっています。さらに、登録を通じて国内外からの注目が集まり、地域振興や観光の活性化にもつながるものと考えています。
本県では、広く国内外に神楽の魅力を発信するため、自分の分身 「アバター」を使って、神楽を楽しく学べるインターネット上の仮想空間 「神楽メタバース」を構築したほか、大阪・関西万博において、VR(仮想現実)映像による迫力満点の神楽体験の機会を提供することとしています。
神楽の価値を再認識し、未来へとつなぐため、共に進んでまいりましょう。日本の宝「神楽」を世界の宝へ!