センターを訪れる方から、「宮崎(県産)スギ」と「飫肥(おび)スギ」はどう違うのと、質問を受けることがあります。
宮崎(県産)スギは、当然のことながら宮崎県内で生産されたスギです。一方、飫肥スギは、旧飫肥藩領(飫肥林業地域)で生産されたスギです。旧飫肥藩領は、宮崎県の南東部、現在の日南市や宮崎市の一部などに当たります。この飫肥林業の特色として、船用木材(弁甲材)生産やさし木による造林などが挙げられます。 |
|
|
|
図1 飫肥城址の場所と飫肥林業地域の写真 |
|
|
弁甲材とは木造船に使用する木材のことで、かつては瀬戸内地区や韓国などに出荷されていました。しかし、現在は、木造船の生産がないことから、建築用として出荷されています。 |
次に、さし木造林とは、親木から採取されたさし穂(さし木に使う枝)を山に植えることにより、さし木に使った親木と同じ性質の木を生産する方法です。そこで、親木を区別するため、品種の概念が生まれ、飫肥スギは木材の色や外見から18品種に分けられてきました。今では、DNA分析技術を活用して正確に識別できるようになってきました。
|
|
|
|
|
このようにして分けられた品種のうち、木材の色が良いなどの理由から、マアカ、アオシマアラカワなどの品種が宮崎県内各地に植栽されるようになってきました。現在、宮崎県内に植栽されているスギの大部分は、飫肥林業地域で発祥した品種です。このようなことから、「宮崎(県産)スギ」と「飫肥スギ」は、産地名の広さに違いはありますが、品種的にはほぼ同じと言えるでしょう。 |
|
宮崎県林業技術センター提供
|
(木材加工部 増永保彦) |