県広報みやざき

口蹄疫発生・終息から10年

「忘れない」

平成22年4月に児湯地域を中心に口蹄疫が発生し、29万7808頭の牛、豚などの命が失われました。あの苦難から今年で10年が経ち、発生により落ち込んでいた畜産業も「復興」の道を力強く歩んできました。
「忘れない そして前へ」を合い言葉に、畜産の新生へと歩みを進め、牛、豚の飼養頭数も発生前の90%を維持するまでに回復を遂げています。
県では、「宮崎県畜産新生推進プラン」に基づき畜産の新生を力強く推進しています。
これまでのさまざまな取り組みを振り返りながら、これからの未来につなげていきます。

家畜防疫対策の4本柱

①水際防疫

海外からのウイルスの持ち込みを防止するため、伝染病の発生状況に応じて空港や港湾に靴底消毒マットを設置しています。

②地域防疫

地域や市町村が中心となって研修会や消毒施設の整備を行っています。

③農場防疫

家畜防疫員による飼養衛生管理基準の遵守徹底のための農場巡回および指導を行っています。また、国内外の伝染病発生状況を共有しています。

④迅速な防疫措置

万が一発生した際に迅速に防疫措置ができるように防疫演習を実施しています。

防疫体制の強化を基本としながら、3つの視点で畜産の新生を推進しています!

01 生産力の向上

畜産経営の安定化を図るために、適正な飼養管理の普及・徹底や、生産性向上を図る機器の導入支援、生産コストの低減のためコントラクター(飼料生産作業受託組織)への委託による飼料生産体制の効率化などに取り組んでいます。

コントラクターによる飼料収穫

02 人財力の強化

繁殖センターなどと連携して地域ぐるみで担い手を育成する取り組みを強力に推進しています。
また、外部講師を招いて高度な技術力の強化や、経営管理能力を備えた「畜産マスター」の育成などにも取り組んでいます。

この9年間で明るい話題もたくさんありました!
全国和牛能力共進会では、3大会連続で内閣総理大臣賞を受賞。またアカデミー賞授賞式のアフターパーティーで「宮崎牛」が3年連続で採用されました。

03 販売力の強化

販売戦略を策定し、関係団体が一体となった県産食肉の販路拡大を推進しています。
また、県産食肉の消費拡大のため、首都圏におけるPRや最新鋭の食肉処理施設の整備による県産牛肉の輸出拡大を推進し、海外でも高い評価を得るようになりました。

東京都内で開催の食肉市場まつりの賑わい

「そして前へ」

現在、国内ではCSF(豚熱)、アジア地域ではASF(アフリカ豚熱)や口蹄疫が流行しており、防疫の徹底に万全を期すとともに、本県は、口蹄疫の苦難を未来につないでいく、そして、被害に遭われた方々の思いを全国にもしっかりと発信していく使命を担っています。
今回、口蹄疫の苦難に直面し、先の見えない状況から、「復興」に向けてしっかりと歩みを進めて来られた方々に話を聞きました。

ー 思いをつなぐ

川南町 和牛肥育農家 岩崎勝也さん親子
(左)冬吾さん (中央)哲太さん

平成22年4月に口蹄疫が都農町、川南町と立て続けに発生する中、岩崎勝也さんの牧場の牛も口蹄疫に襲われてしまいました。

全頭処分を経験された当時を振り返り、自分の牛舎だけでなく、川南町から牛と豚がいなくなってしまう状況に頭の中は真っ白でしたが、家族のためにも経営を再開することに迷いは一切なかったとのこと。

発生当時、まだ幼かった2人の息子さん(哲太さん、冬吾さん)も勝也さんのその力強い背中を見て育ち、今では立派に牧場経営を手伝うまでに成長し、あの口蹄疫の苦難をしっかりと受け継いでいます。

平成31年4月に、宮崎県の生産者を代表して首相官邸で安倍晋三首相に宮崎牛を贈呈し、懇談でもしっかりと宮崎牛をPRした岩崎さん。

また、かつては第2回宮崎県肉畜共進会のグランドチャンピオンを獲得したことのある岩崎さんは、全国和牛能力共進会への出品の夢も忘れてはいません。

現在の県内肥育農家は、全体のレベルが数段上がっていると、その「復興」を肌で感じているようでした。

「こんなにおいしい日本一の宮崎牛を県民の皆さんに提供できることが幸せであり、もっともっと食べてもらいたい。」と笑顔で語る岩崎さんの思いを県としても受けとめ、しっかりと未来につなげてまいります。

首相官邸で宮崎牛を贈呈

ー 前に進む

新富町 酪農家 松浦千博さん

口蹄疫が県内で発生していた当時、松浦千博さんはアメリカのカリフォルニアに農業留学中で、そこで学んださまざまなことを実家で実践したいと考えていました。しかし、夢を持って新富町の実家に帰ってきましたが、実際の牛舎を見てのショックは大きく、牧場の全ての牛を殺処分しなければならないという「どん底」の状況でした。

先の見えない不安の中、酪農を再開しましたが、牛の健康管理などの面で試行錯誤を重ねながら、これから先このまま続けられるかという悩みと苦労は絶えなかったそうです。

アメリカのインターンシップ先での経験や学びが、現在の松浦さんの酪農の目標となっているとのこと。また、志や思いを同じくする仲間との勉強会などを通して新たな刺激を受けています。

再開後、本当に経営が軌道に乗ったのは最近であるとのことで、現在、松浦さんの牛乳は、新富町内のカフェや宮崎市内のプリン専門店などで使用されており、明るい話題も増えています。

イベント活動の実行委員としても食育などに携わっている松浦さんは、家族で牛と触れあう農場体験を通して、命を感じてもらうことを『命の循環』という言葉で伝えていきたいと語っていました。多くの方々にそのことを伝えることが防疫にもつながっていくと松浦さんは考えています。

今年の10月31日から11月2日、第15回全日本ホルスタイン共進会九州・沖縄ブロック大会が都城市で開催されます。全国から注目が集まる中、松浦さんも出品を目指しているとのこと。宮崎の酪農を盛り上げる絶好の機会に、県としても前に進む宮崎の酪農の姿を力強くPRしていきます。

松浦牧場の皆さん

お問い合わせ
畜産振興課
0985(26)7138
家畜防疫対策課
0985(26)7139
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