県広報みやざき

手話は言語です

県では、県民の皆さまが、障がいの有無に分け隔てられることなく、互いに人格と個性を尊重し合いながら、共に生きる社会の実現を目的に、平成31年4月より「手話等の普及及び利用促進に関する条例」を施行しました。
今では、日常の中に少しずつ浸透してきた「手話」ですが、過去には偏見や差別によって、意思疎通の手段である「手話」を使うことが制約され、障がい者の尊厳が深く傷つけられた時代がありました。聴覚に障がいがある人にとって、生活の中にあふれているさまざまな情報を得るために、目から入る情報はとても大きな意味を持っています。
特に、手話を言語とする聴覚障がい者にとって「手話」は自分のアイデンティティであり、大切なコミュニケーション手段なのです。
5月の知事会見から手話通訳がつきましたが、手話通訳士は単なる通訳の役目だけではなく、聴覚障がい者の権利を守るために欠かすことのできない存在です。
今回は「手話」について、県立聴覚障害者センターの職員の方々にお話を伺いました。

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手話等の普及及び利用促進に関する条例
(条例前文より)

言語は、人々が交流し、情報を伝達し、お互いの感情を理解し合い、意思疎通を図るための手段であり、生きていくために欠かすことのできないものである。
障がい者にとって、意思疎通のための手段は、手話、要約筆記、点字、触手話、代筆等多岐にわたるが、障がい者が自らの障がいの特性に応じた意思疎通手段を選択し、これを利用する機会が十分に確保されているとはいえず、日常的な困難を抱えている人は少なくない。なかでも、手話にあっては、ろう教育において読唇及び発声の訓練を中心とする口話法が導入されたことにより、その使用が制約された時代があり、その結果、ろう者の言語である手話の使用が事実上禁止され、ろう者の尊厳が深く傷つけられた歴史を持っている。

※ろう者…聴覚障がい者の中で先天的に聴力を失った人

手話通訳士の視点から…

県立聴覚障害者センターの職員であり、手話通訳士の満平さん、吉岡さん、時任さんの3名にお話を伺いました。

左から満平さん、
吉岡さん、時任さん

手話通訳士としてのやりがい

手話通訳士として、「人の役に立つことができている」「ろう者の方の人権を守れた」という実感は、とても大きな喜びです。単にお互いの言葉を伝えるだけでなく、「気持ちをつなげるお手伝い」をすることが大切な役割だと考えています。

「手話」への理解・普及を

「手話」の普及で、コミュニケーション手段の選択肢が増え、ろう者の方の行動の自由を保障することができます。これからも「手話」を通して、「福祉の心」を育て、みんなが共に生きる社会を目指していきます。

ろう者の視点から…

県立聴覚障害者センターの職員であり、ご自身も聴覚に障がいがある堀田さんにお話を伺いました。

堀田さん

知事の記者会見に通訳がつきましたが

新型コロナウイルス感染症対策について、知事の思いや県の取り組みを初めて手話通訳を通して知ることができ、うれしく思いました。新聞などで文章を読むのとは違い、知事の思いを直接受け止めることができたと感じました。

「手話」への理解・普及を

「手話」は大切なろう者の言語です。手話で話しているだけで差別されてきた歴史がある中で、現在は手話で話すことが当たり前の風景として受け止められ、手話に関心を持つ方々が増えているのはうれしいことです。しかし、手話による情報保障が受けられる環境はまだ十分ではありません。医療や裁判、災害などの場面で手話による情報保障がなければ、ろう者の権利や生命が奪われる恐れがあります。感染症に感染した時や大きな災害時など、手話通訳者の派遣が困難な時の情報保障をどうするのか、などさまざまな課題について考えていく必要があります。

「コミュニケーション」の輪を広げたい

一方で、手話を知らない聴覚障がい者や難聴者もおられます。ゆっくりはっきり口を動かす口話もひとつの手段ですし、筆談や身振りなど、手話に限らずさまざまな方法でコミュニケーションを取ることができます。「これだったらできる」「こんな方法もあるんだ」とお互いに工夫し合い、理解し合い、助け合うことが大切だと思いますし、こうした理解が県民の皆さんに広がってほしいです。その中で「手話」についても理解が広がっていけば大変うれしいです。

伝えよう自分の言葉で

今回の取材の中で、堀田さんは、「簡単なあいさつであっても、手話で表してくださることでお互いに歩み寄っていくという気持ちを感じることができます」と話してくださいました。

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県としての取り組み

言語としての「手話」の普及や障がいの特性に応じた意思疎通手段に関する啓発や学習の機会の確保に努めます。また、障がいの特性に応じた意思疎通手段を利用した県政情報の発信、意思疎通支援者やボランティアなどの人材の育成に取り組んでいきます。

県立聴覚障害者センターの皆さん

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