
宮崎県感染症発生動向調査2016年第34号
第18巻34号[宮崎県第34週(8/22〜8/28)全国第33週(8/15〜8/21)]
宮崎県感染症週報
宮崎県感染症情報センター
宮崎県健康増進課
宮崎県衛生環境研究所
宮崎県第34週の発生動向
全数報告の感染症(34週までに新たに届出のあったもの)
- 1類感染症:報告なし。
- 2類感染症:結核7例。
- 3類感染症:報告なし。
- 4類感染症:報告なし。
- 5類感染症:急性脳炎1例、梅毒1例。

全数把握対象疾患累積報告数(2016年第1週〜34週)

( )内は今週届出分、再掲
定点把握の対象となる5類感染症
定点医療機関からの報告総数は609人(定点当たり19.4)で、前週比105%と増加した。前週に比べ増加した主な疾患はRSウイルス感染症と感染性胃腸炎で、減少した主な疾患は流行性耳下腺炎と手足口病であった。
インフルエンザ・小児科定点からの報告
【RSウイルス感染症】
報告数は65人(1.8)で、前週比191%と増加した。例年同時期の定点当たり平均値*(2.0)の約0.9倍であった。延岡(5.8)、日向(4.3)保健所からの報告が多く、年齢別は1歳以下が全体の8割を占めた。
【流行性耳下腺炎】
報告数は65人(1.8)で、前週比74%と減少した。例年同時期の定点当たり平均値*(0.74)の約2.4倍であった。高千穂(9.0)、小林(7.0)、延岡、日向(各2.0)保健所からの報告が多く、年齢別は3〜4歳が全体の4割を占めた。
【伝染性紅斑】
報告数は38人(1.1)で、前週比115%と増加した。例年同時期の定点当たり平均値*(0.30)の約3.7倍であった。小林(3.0)、高鍋(2.3)、日向(2.0)保健所からの報告が多く、年齢別は3〜5歳が全体の半数を占めた。


*過去5年間の当該週、前週、後週(計15週)の平均値
基幹定点からの報告
○マイコプラズマ肺炎:宮崎市(6例)、延岡、日向(各1例)保健所から報告があった。0〜4歳が5例、5〜9歳が2例、10歳代が1例であった。
保健所別 流行警報・注意報レベル基準値超過疾患
病原体検出情報(衛生環境研究所微生物部 平成28年8月29日までに検出)
細菌
○発熱、紅斑の症状を呈した男児からStaphylococcus aureus (エンテロトキシンC 型 TSST-1 遺伝子陽性)が検出された。黄色ブドウ球菌が産生する毒素には耐熱性の外毒素(エンテロトキシンA〜E)が知られているが、食中毒患者から分離される株の多くがエンテロトキシンA 型、B 型である。一方、急性全身性感染症の原因毒素、TSST-1 産生株はエンテロトキシンC 型を産生するものが多く、今回分離された菌株もエンテロトキシンC 型であった。
ウイルス

○新生児1名、乳児1名からパレコウイルス3型が検出された。パレコウイルス感染症は比較的軽症の胃腸炎、上気道炎の原因となることが知られており、学童期のパレコウイルス抗体保有率は80%を超えるという報告がある。幼児では重症例の報告がほとんどないのに対し、生後3ヶ月未満の乳児がパレコウイルスに感染すると、敗血症や脳炎を呈し、重症化する傾向が強いという特徴がある。当所では今年に入ってパレコウイルス3型が18名から検出されており、うち6名は生後3ヶ月未満の乳児である。
○乳児1名、幼児1名からコクサッキーウイルスB5型が分離された。
全国2016年第33週の発生動向
全数報告の感染症(全国第33週)
定点把握の対象となる5類感染症
定点医療機関当たりの患者報告総数は前週比92%と減少した。前週と比較して増加した主な疾患は感染性胃腸炎と流行性角結膜炎であった。減少した主な疾患は手足口病とヘルパンギーナであった。
流行性耳下腺炎の報告数は3,347人(1.1)で前週比104%とほぼ横ばいであった。例年同時期の定点当たり平均値*(0.43)の約2.5倍であった。和歌山県(2.9)、新潟県(2.7)、熊本県、宮崎県(各2.4)からの報告が多く、年齢別では4〜6歳が全体の約4割を占めた。
流行性角結膜炎の報告数は535人(0.79)で前週比127%と増加した。例年同時期の定点当たり平均値*(0.72)の約1.2倍であった。長ア県(3.4)、愛媛県(2.4)、宮崎県(2.3)からの報告が多く、年齢別では10歳未満が全体の約3割を占めた。
* 過去5年間の当該週、前週、後週(計15週)の平均値
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