山里で夜神楽が始まる頃は、
鹿や猪などの狩猟が始まり、新そばの季節でもある。
また、黒潮の恵みを受けた宮崎では、
年間を通して多くの海の幸が食卓に並ぶ。
いかにも南国らしい豪快さの中に、
繊細なうまみを秘めた宮崎の味覚を楽しもう。
イセエビ 秋
秋の宮崎を代表する海の幸。ほんのり甘いお造りは絶品。
毎年、9月1日に漁が解禁されるイセエビは、宮崎の秋の味覚を代表する海の幸だ。県内では北から南まで全域の磯場で獲れ、「伊勢えび祭り」などのイベントも盛んに行われている。料理は生きたままのイセエビを使うお造りが絶品。頭や殻は、こくの深い味噌汁になる。

チキン南蛮 通年
ブロイラー産出額日本一、宮崎が生んだ日本のお総菜
家庭料理として全国に普及しているチキン南蛮は、昭和30年代に延岡市のレストランで誕生したといわれる。衣をつけて揚げた鶏肉を甘酢に浸し、タルタルソースをかけるのが定番。ブロイラー産出額日本一の宮崎が生んだ、日本のお総菜だ。

焼きしいたけ 秋
山の滋味をたっぷりと含んだ名産の椎茸。
軽く焼いて、平兵衛酢を添えて。
宮崎県は大分県と並ぶ椎茸の名産地だ。最近は安い中国ものも出回っているが、香り、味わいとも最上を求めると、やはり国内産に限る。炭火で焼いて、特産の平兵衛酢のぽん酢を添えると、平兵衛酢のさわやかな酸味が椎茸の甘みと香りを引き立ててくれる。秋の夜にうれしい贅沢だ。

猪鍋 秋・冬
体を温めてくれる冬の山里のご馳走。甘みをきかせた味噌仕立て。
毎年、11月中旬から猪猟が解禁になり、もっともうまいとされる「鉄砲猪」が出回る。猪は古くから体を温め、精をつけるものとして珍重されてきた。宮崎は九州でも猪猟が特に盛ん。味噌仕立ての「しし鍋」は、山里で客をもてなす最高のご馳走だ。

日向かぼちゃの蒸しもの 夏
濃厚なうまみを黒皮に閉じ込めて。冷やすほどに深まる味わい
やや黒味がかった皮の下に、濃厚な味わいがつまっている宮崎特産の日向かぼちゃ。海老や貝柱などの具を添えて蒸し、冷やすことで、豊かな味わいを引き出した一品。

冷や汁 夏
地鶏と並ぶ郷土料理の代表格。
するすると食べられる夏の味わいを楽しむ。
暑い夏でも食欲をそそる冷や汁は、宮崎の代表的な郷土料理。焼いたアジの身をほぐし、ゴマを加えてすり鉢であたり、麦味噌を加えてすりつぶす。それを氷水でのばしたものに、薄切りのきゅうり、手でちぎった豆腐を混ぜ、熱いご飯にかけると出来上がり。

かつおめし 夏
揺れる船の上、忙しい合間にかきこんだ、豪快な漁師たちの料理。
すっかり日南、南郷の名物料理になったカツオめしは、もともとは漁師料理。釣れたカツオを船上で刺身で食べ、残りを醤油に漬けておいてご飯と一緒にかきこむ。あるいはお茶漬けにする。県南の甘い醤油が独特の風味だ。

ウチワエビの味噌汁 春・夏
パッチンエビの名で親しまれる庶民の味。
イセエビに似た風味でおいしい。
宮崎ではパッチンエビやパタエビの名で知られる。上から押しつぶしたような姿をしていて、その狭い殻の隙間につまった身のうまさは、イセエビより上という人もいるほど。最盛期は短く、4月から5月にかけて。初夏になったら、ウチワエビの味噌汁を思い出してほしい。

都井のウニ 春
料理人の間で評価される南国のウニ。
身は小粒だがうまみ豊かな、知られざる名品。
料理人の間で高く評価されている都井岬周辺のムラサキウニ。身は小粒だが色あざやかで甘みも強く、全国的にもひけをとらないという。価格も比較的安いので、知られざる名品を贅沢に楽しみたい。

うなぎの蒲焼き 通年
宮崎は国内第3位のウナギ県。
シラスウナギ漁も盛んなウナギの本場だ。
大淀川などの河口でシラスウナギが獲れる宮崎は、ウナギの出荷量国内第3位のウナギ県。新富町や宮崎市で盛んに養殖されており、質の高さでも知られている。皮をさっくりと焼き上げ、身はふんわりと香ばしい蒲焼きを、ウナギの本場で味わおう。


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