掲載開始日:2021年4月1日更新日:2022年4月13日

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生物工学部

研究方針

バイオテクノロジー分野の技術革新はめざましく、DNAマーカーを用いた優良形質や病虫害抵抗性の選抜、品種判別、RT-PCRによるウイルスなどの検出技術等が、農業分野において次々に実用化されています。
また、茎頂培養でのウイルスフリー化や組織培養、葯培養技術注1)の開発により、種苗の大量増殖を行い安定的な優良種苗の供給に貢献しています。
このような状況の中で、生物工学部では、これらのバイオテクノロジー技術を駆使して、「実需ニーズに対応した競争力のある県オリジナル品種等の開発」、「地域の魅力を生み出し収益性を高める技術開発」および「迅速なリスク低減と総合的な防疫体制確立に繋がる技術開発」に取り組みます。

  • 注意1)葯培養技術とは、花の中で花粉を作る「葯」を培養して花粉から植物を作り出す技術です。遺伝子的に均質な植物を短期間で得ることが出来ます。

最近の試験研究成果

ピーマン土壌病害虫抵抗性台木「台ひなた(試交31号)」の育成

試交31号は、土壌病害虫(サツマイモネコブセンチュウ、青枯病、PMMoV)抵抗性を付加したピーマンの台木用品種です。一部の系統を除くサツマイモネコブセンチュウに対して抵抗性を有しており、青枯病に対しては、'みやざきL1台木1号'と同程度の抵抗性(中程度抵抗性)があります。また、トバモウイルスの一種PMMoV(P1,2)に対しても抵抗性(L3)を有することから、県内で栽培されている「京鈴」や「宮崎グリーン」等のL3タイプの品種に対し、接ぎ木親和性があります。

染色後の試交31号の根の様子

染色後のみやざき台木5号の根の様子

センチュウにより形成された卵のうを染色した様子

左:台ひなた(試交31号)(卵のうが少ない:抵抗性)

右:みやざき台木5号(卵のうが多い:感受性)

今後の研究

  1. 葯培養技術を用いて、民間種苗会社と連携し、宮崎に適した多収性・高品質緑ピーマンF1品種を育成します。また、広い範囲のトバモウイルスに抵抗性を有するPMMoV抵抗性L4型緑ピーマンの親系統を育成します。その他にも、黒枯病・斑点病抵抗性の遺伝資源の探索、青枯病、疫病、立枯病及び線虫に抵抗性を有する台木の育成に取り組みます。
  2. 葯培養、胚珠培養技術によるラナンキュラスの新品種育成とメリクロン苗の供給に取り組みます。また、ホオズキの弱毒ウイルス接種苗の育成・供給技術の確立に向けた研究を展開していきます。
  3. ポストマンゴーと期待されているライチでの簡易挿し木による増殖技術開発を行います。
  4. いもち病圃場抵抗性を有する飼料用稲「ミナミユタカ」の育成等、DNAマーカーを用いた効率的な選抜法により、病害虫抵抗性遺伝子を導入した同質遺伝子系統育成を加速化します。また、DNAマーカーを用いた品種系統識別技術を用いて、稲、ニガウリ、ピーマン等の優良種苗供給体制を確立します。
  5. 茎頂培養によるかんしょ等の選抜系統の新品目・優良系統のメリクロン技術により優良種苗を供給します。

お問い合わせ

宮崎県総合農業試験場  

〒880-0212 宮崎県宮崎市佐土原町下那珂5805

ファクス:0985-73-2127

メールアドレス:sogonogyoshikenjo@pref.miyazaki.lg.jp