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小骨の多いハモは、皮だけ残して身に細かく包丁を入れる「骨切り」が必要。家庭でも手軽に食べられるように、最近は骨切りした形でも販売されている。漁協近くの直売店で購入できる。 |
京都・関西でもてはやされる門川の金鱧。
その京都・関西地方で、門川の「金鱧」がもてはやされている。門川周辺はもともと、日向灘沖の近海漁が中心で、底曳き網のカニやクルマエビをはじめ、チリメン、カツオなど四季を通じて漁があるのだが、ハモも年間30トンほど獲れていた。それを活かしたまま港に持ち帰り、しばらく蓄養して出荷する。餌を絶って、きれいな海水で飼っておくと身の臭みが抜け、味も深まるそうだ。 その中でも、紫外線殺菌をした海水で4日間以上蓄養した、400グラムから1キログラムまでの食べ頃のハモは「門川金鱧」の県水産物ブランドとして出荷され、特に珍重されている。身はもちろんのこと、皮や肝、胃袋や浮き袋まで、捨てるところがないといわれるハモ。旬は梅雨明けと秋の二回あるので、本誌が発行される頃には、値も落ち着いたおいしいハモが食べられそうだ。 かくれた名品、ボラのカラスミ宮崎はカラスミのかくれた名産地だ。寿司屋さんや料理屋さんでは、料理人が自慢の腕をふるい、自家製のカラスミを出してくれるところも多く、おいしい上に値段も安い。ざっと東京の半値以下といったところだろうか。原料となるボラの卵は、県内では門川獲れが大半で、9月から翌年2月頃まで市場に出回る。出世魚のボラは、トドといわれる最大級にまで成長して、産卵のために大きな群れを作って沿岸を南下するのだが、その回遊ルートが門川沖を通るらしい。 カラスミは、簡単にいえばボラの卵の塩漬けだが、血合いなどの掃除に始まり、塩漬け、塩抜き、味付け、陰干しと大変に手間のかかる工程を経て出来上がる。まさにひとつひとつ、慈しむように手をかけて、あの飴色の光沢と熟成の風味にたどりつくわけだ。 宮崎市内で料理長を務める黒木重行さんによると、カラスミ作りのポイントは「独特の甘みを感じられる塩加減」につきるという。その塩梅は料理人それぞれに違うので、そこを楽しんでほしいとのこと。日本三大珍味のひとつ、カラスミの味比べができるというのも、宮崎ならではの贅沢だ。 主な旬の魚 (左)秋から冬にかけて、宮崎の料理屋さんではカラスミを手作りするところが多い。宮崎の名物として注目したい逸品だ。(右)カラスミの作り方を教えてくださった黒木重行さん。味付けの塩加減が料理人の腕の見せ所という。 |
宮崎市漁協直売センター 宮崎市青島3-5-1 |
魚の宝庫、「黄金の瀬」育ちの青島獲れ。
そんな青島の魚を堪能するには、漁協の直売センターを訪ねてみるのがいい。青島の漁は、近場の沿岸を漁場とする小型船が多いため、魚種も季節を通じてさまざまだ。勇壮なマギリ漁(曳き縄)によるカツオをはじめ、底曳き網によるエビ類、はえ縄のタチウオ、秋に始まるイセエビ漁の網には、シブダイ、メジナ、ブダイなどの瀬魚も入ってくる。 中でも人気なのが、ヒゲナガエビ(通称アマエビ)だ。身はほんのりと甘く、豪快に山盛りにしたものを、生のまま皮をむきながらわさびじょうゆで食べると、途方もない贅沢をしている気分になれる。 地元で、ほんとうにうまいカツオを見分ける方法を教えてもらった。尾を持って少し振ってみるといいという。これが緩んでいるものは、まだ死後硬直が進んでいないので、味も深く、もちもちとした食感を味わえるのだそうだ。これを食べると、カツオは刺身にかぎると思えるはずとのこと。 青島名物、瀬魚の湯じろみ古くから海と縁の深い青島には、数々の地元料理があるのだが、漁師さんが好んで食べるものに「湯じろみ」がある。 材料にはメジナやブダイ、タカノハダイなどの「瀬魚」を使う。カツオのタタキは、三枚におろした身を皮ごと強火であぶる料理法が一般的だが、「湯じろみ」は、焼く代わりに熱湯をかけ、それを氷水にとってしめたものだ。きれいな白身だが、ちょっと癖のある瀬魚が(鮮度のいいものに限るが)、これで見事に変身する。タカノハダイなどは、臭みがあると市場では低く扱われる魚だが、それも鮮度次第。新鮮な魚が手に入る地元ならではの料理だ。 主な旬の魚 (左)直売センターで人気のヒゲナガエビ(通称アマエビ)。氷詰めにして遠方への配送も行っている。(中)三枚におろした瀬魚の身に熱湯をかけ、氷水で冷やす「湯じろみ」。(右)青島ではベロと呼ぶシタビラメ類も獲れる。これをみそやネギと一緒に細かく叩いて作るのが、青島の漁師料理「べろみそ」だ。 |