宮崎県季刊誌「Jaja」じゃじゃ
門川の金ハモ
門川の金ハモ
門川の金ハモ

港町うまいもの紀行、
海のお宝を探す旅。

宮崎の海には北は北浦町から、南は串間市まで21の漁協があり、大小あわせて3、500隻ほどの漁船が稼動している。それぞれの港には個性豊かな漁の形があり、狙う魚も季節ごとに移ろっていく。

こんなに多様で奥行きのある宮崎の海ならば、漁師さんや地元の人に聞けば、きっとお宝と言えるような「うまいもの」に巡り会えるだろう、と県内の港を歩いてみた。

ここに紹介した魚や料理の中に、ひとつでも「初めて知った」というものがあれば、それは「宝の卵」になるかもしれない。また、「まだほかにも、こんなものもあるぞ」というものがあれば、ぜひ教えていただきたい。かつてメヒカリにまったく値のつかない時代があったように、宮崎の海にはまだまだ「宝」があふれているに違いない。

宮崎の魚の魅力を全国に知ってもらおうと、「いきいき宮崎のさかなブランド確立推進協議会」が選定した「みやざきのさかな」。
宮崎の豊かな自然の中で育つ魚の中から、春・夏・秋・冬・川の5ジャンルで15種が選ばれています。

カツオ スズキ目サバ科 主な漁協:県内全域
漁港へ行くと、両舷に物干し竿のような大きな竿が二本、立っている船を見ることがあるが、これはカツオのマギリ漁(曳き縄)の船だ。トローリングのように疑似餌を曳いて一尾ずつ釣る。旬は初夏だが、宮崎では一年中釣れるところもある。

マグロ スズキ目サバ科 主な漁協:富島、日南市、南郷、大堂津
黒潮の王様・クロマグロをはじめ、キハダマグロ、メバチマグロと、宮崎にはさまざまなマグロが水揚げされる。特にクロマグロの幼魚であるヨコワは、小さいけれど脂がほどよくのり、沿岸で獲れるため新鮮なものが食べられる。

タイ スズキ目タイ科 主な漁協:北浦、川南町、宮崎、串間市
日向灘は昔からマダイが多いが、最近は稚魚放流のおかげで漁獲が増えているという。旬は冬から春。特に産卵直前の春先は「桜鯛」と呼ぶ。刺身、吸い物、煮物と、あらゆる料理に向く。日本料理の基本となる魚だ。

カンパチ スズキ目アジ科 主な漁協:北浦、島浦町、串間市
もともと漁獲が少なく、かつては超高級魚だったカンパチも、養殖技術が進んで気軽に食べられるようになった。宮崎では肉質や鮮度を保つために独自の活け締め技術が開発され、ブランド魚「宮崎カンパチ」は市場での評価が高い。

シイラ スズキ目シイラ科 主な漁協: 延岡、富島、川南町、日南市、南郷
獲れたてのシイラの刺身は、ブリに似ておいしい。鮮度が落ちるのが早い魚なので、地元でとれたてをいただきたい。

トビウオ ダツ目トビウオ科 主な漁協:日南市、串間市東
日本近海には約30種のトビウオがいるが、日向灘で獲れるのはツクシトビウオ、ホソトビ、アヤトビウオ、トビウオ、ハマトビウオなど。いわゆる大トビは、ハマトビウオのことだろう。干物が有名だが、夏の刺身もさっぱりとしておいしい。

イセエビ 十脚目イセエビ科 主な漁協:県内全域
うまくて、大きくて、高価で、おめでたいというのがイセエビのイメージだ。確かに安いものではないが、出始めの9月、10月は案外買いやすい。刺身、みそ汁、姿蒸しはまさに絶品だ。

アジ スズキ目アジ科 主な漁協: 北浦、島浦町、門川、宮崎市
サバが獲れなくなった代わりに、アジは豊漁が続いている。魚名も「味」に由来しているというだけあって、どうやって食べてもおいしい。旬は春と秋の二回。ブランド魚「北浦灘アジ」は認定前の数倍の高値で取り引きされる人気魚になった。

イワシ ニシン目ニシン科 主な漁協:北浦、島浦町、延岡、延岡市、門川
今、宮崎でイワシというとウルメイワシだ。ヒラゴと呼ばれるマイワシは全国的に不漁が続いているが、こうした青魚は、数十年周期で盛衰を繰り返すそうだ。干物が有名だが、鮮度の高いものは刺身もおいしい。

ヒラメ カレイ目ヒラメ科 主な漁協: 庵川、川南町、宮崎市
砂底の浅い海を好むヒラメにとって、日向灘は格好のすみかだ。タイと並ぶ白身魚の代表格で、独特の食感とうまみのある刺身は最上の味。宮崎ではカレイと呼ぶこともあるが、背を上にして目が左にあればヒラメだ。

ブリ スズキ目アジ科 主な漁協:北浦、延岡市、富島、串間市東
宮崎県はモジャコ種苗による養殖を全国に先駆けて成功させた、ブリ先進県だ。最近は養殖技術が進み、味や色合いなども天然ものとほとんど変わらなくなった。特に秋から冬にかけては脂がのり、寒ブリとして食される。

オオニベ スズキ目ニベ科 主な漁協:庵川、川南町
大きなものは体重25kgにも育つ超大型のニベ。アジなどの群れについていて、30cmほどのアジならひと飲みにする。刺身や唐揚げもおいしいが、内臓を使った鍋料理は知る人ぞ知る逸品だ。産卵を控えた秋から冬にかけて、旬を迎える。

アユ サケ目アユ科 主な産地:五ヶ瀬川水系、耳川水系、大淀川水系
アユにとって理想の川は、中流域にダムがなく、山の植物が豊かで、水が澄み、石が多い川だ。こういう川はアユの食べ物である珪藻類がよく育ち、アユも香り高いものになる。宮崎にはそんな川が多く、全国の釣師の憧れの地だ。

ウナギ ウナギ目ウナギ科 主な産地:新富町、佐土原町
夏のスタミナ源として欠かせないウナギは、新富町や佐土原町で養殖が盛ん。特に栄養状態が良く、おいしいウナギは背の色が青みがかって見えることから「青ウナギ」と呼ばれて珍重される。県内の河口では稚魚であるシラス漁も行われる。

ヤマメ サケ目サケ科 主な産地:五ヶ瀬川水系、耳川水系、小丸川水系
サクラマスの陸封型がヤマメ。渓流の女王の別名があるほど、姿が美しく、味も良い。養殖がむずかしいとされていたが、宮崎県内では全国に先駆けて養殖に成功して、安定して食べられるようになった。宮崎ではエノハとも呼ばれる。