宮崎県季刊誌「Jaja」じゃじゃ

Jajaバックナンバー

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人の心をつなぐ神様

宮崎県内には、未確認のものも含めて600体以上の田の神像があるのではないかといわれている。その多くは、大切に守られているのだが、中には減反によって田んぼがなくなると同時に顧(かえり)みられなくなったものや、土地整理で行方がわからなくなったものもある。また一方で、道路工事をしていたら土の中から出てきたという、再発見された田の神さあもいる。

地域の高齢化や農業後継者の不足もあって、田の神祭りを続けていくのがむずかしくなってきたという声もある中で、えびの市や小林市、都城市など、あらためて田の神さあの調査に乗り出したところもある。広大な田畑や山の中で、忘れられたものも多い田の神像を探し当てるのは、ねばり強い根気のいる仕事であることだろう。

そんな努力の結果として、一部、観光やまちづくりのシンボルに形を変えてでも、未来につなぐことができれば、田の神さあは、まずまず喜んでくれるのではないだろうか。三百年もの間、地域の人々の心をつないできた田の神さあを、これからも守り続けていきたい。

田の神さあ