
「宮崎に来たら、せっかくだから県庁にも寄ってみよう」という観光客の方が増えています。今年の春、旅行代理店の企画として「県庁ツアー」が始まって以来、その数は日に日に増え続け、8月のピーク時には日に5000人を記録、8月20日には早くも累計10万人に達しました。今回の「宮崎の逸品」は、今もっとも「旬」な観光スポットとして、多くの方に訪れていただいている宮崎県庁本館をご紹介します。
宮崎県庁本館は昭和7年(1932年)に建設された、現存するものの中では全国で4番目に古い県庁舎です。全5階(地上3階、地下1階と屋上塔屋)の建物は、外壁に柱型を並べてその上端を尖らせる、耐震耐火鉄筋コンクリート造りの近世ゴシック様式で、当時、相当モダンな建物だったことをうかがわせます。
正面玄関から玄関ロビーと上階への階段にかけては、五ヶ瀬町で採石された大理石などの自然石で飾られ、しっとりと落ち着いた雰囲気。特徴のひとつでもある大きな煙突は、建設当時、この下にドイツ製ボイラーが設置され、全館にスチームを送る暖房装置として使われていました。
正門から本館を結ぶ前庭には、県木のフェニックスやワシントニアパーム、ソテツ、アコウ、びろう樹などの亜熱帯植物が植えられ、ほかにもえびの高原の溶岩、神話の町高千穂町にちなんだ招霊(おがたま)の木、古代のはにわ(複製)など、県内の観光地をイメージした作りとなっています。
写真左)観光客や児童・生徒さんたちを職員が案内する県庁ツアー。
写真右)7月から始まった県庁本館のライトアップ。
明治6年、田んぼの真ん中に建てられた初代県庁
現在の建物は二代目で、最初の宮崎県庁は、同じ位置に明治6年、当時の美々津県と都城県が合併して宮崎県が誕生するのと同時に建てられました。全国の県庁所在地には、藩政時代は城下町だったところが多いのですが、江戸時代の宮崎平野は薩摩藩、高鍋藩、飫肥藩、延岡藩と天領が入り混じり、人口も多くなく、明治初期の県庁周辺は田んぼが広がっていました。いわば、ほとんど人家もないところに行政の中心として県庁ができて、それを取り巻くように新しい市街が形成されてきた歴史があります。
ここに県庁を建設したのは、文化の異なる複数の地域をうまく融合する意味合いと、ちょうど県土の中央部で交通の便に恵まれていたことなどが理由と考えられています。初代宮崎県庁は、新しい宮崎県の統合と発展の象徴だったといえるのかもしれません。

発展途上の新しい市街における中心的建物となっていた県庁本館。
憩いの場としての県庁へ
「こんな風に観光客が自由に入れる県庁ってあるんですね。私は、地元の県庁にもほとんど行ったことがないのですけど」関東から来られた女性グループの方にインタビューしたところ、こんな感想をいただきました。
堅いイメージをもたれがちな県庁に、これほど多くの観光客がいらっしゃるのは、私たち職員にとっても想像を超えたことでしたが、夜間のライトアップ、カフェテラスの開設、職員ガイドによる県庁ツアーと、少しずつお客様を迎える態勢が整ってきました。
宮崎市のメインストリート橘通につながる緑美しい楠並木、亜熱帯樹が茂る明るい前庭、昭和初期のレトロな雰囲気の残る県庁本館。その魅力を生かしながら、さら多くの方に憩いの場として楽しんでいただけるよう、きめ細かなおもてなしの心で取り組んでまいります。
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登庁時にお客様に囲まれる東国原知事。 |
夏季限定でオープンしたカフェテラス。 |
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橘通りへ続く樹齢120年の楠並木。 |
知事の等身大パネルがお迎えする正面玄関。 |
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県民室は、案内・相談等にご利用ください。 |
歴史を感じさせる講堂。かつては議場として使われていました。 |
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