5 新第三系

(2) 祖母山火山岩類 (3) 庵 川 層 (4) 尾鈴山酸性岩類
(5) 花崗岩及び花崗斑岩 (6) 宮崎層群 (7) 鮮新世安山岩類

見 立 層

 見立層は県の最北端にある見立鉱山の周辺山腹や大崩山の周辺に断片的に分布する。 分布の外縁をたどると、長径25kmにも達する楕円状をなす。本層は二畳・三畳系や 四万十累層群下部の起伏に富む浸食面を被覆し、祖母山火山岩類のデイサイト質溶結凝灰岩に 不整合に覆われる。大部分が礫岩からなり、ときに砂岩や泥質岩の薄層を挟む。 上部に砂岩がある。層厚は一般に200〜300mで、厚い所では数100mに達する。 地層面は10°〜25°の緩傾斜を示し、後の断層運動は受けているが、中・古生界にみられるような 褶曲運動は受けていない。

 礫岩は大小雑多の円礫−亜円礫−亜角礫が主に砂質物で膠結されたもので、 礫の粒径は平均10cmであるが、最大数mにも達する。礫種としては基盤の中・古生界に由来すると 思われる礫岩・砂岩・泥質岩・チャート・石灰岩・千枚岩の他に、 花崗岩・アダメロ岩・花崗閃緑岩・閃緑岩・優白質花崗岩・アプライト質花崗岩・石英斑岩・圧砕斑岩・ 圧砕花崗岩〜花崗閃緑岩・珪質片岩・黒雲母片岩・緑色片岩・角閃岩・片麻岩様岩石などがある(松本・橋本1963)。

 これらの礫種や淘汰の悪い堆積状態、分布が内陸山地に限定されていることなどを考え合わせると、 見立層は火成活動に先行して生じた陥没性盆地を急速に埋積して形成されたものと思われる。 なお本層は付近に貫入している花崗岩の接触変成作用によって、ほとんどホルンフェルス化している。

 見立層からは化石を産しないので、その地質時代は明らかでないが、 帯状構造をなした白亜系の四万十累層群下部を不整合に覆い、中新世中期の大崩山花崗岩類に貫かれていることから、 中新世前期の末葉と推定される。