宮崎県季刊誌「Jaja」じゃじゃ
海幸山幸うまいもの

風かおる季節に、旬を味わう逸品

日向夏アイスクリーム

日向夏アイスクリーム

気品高い風味の宮崎特産種。
洋酒を生かした新レシピのアイスで。

宮崎の初夏を鮮やかな香りで彩る日向夏は、文政年間の1820年頃、宮崎市の真方安太郎邸の裏庭で、5月の初夏の頃にさわやかな風味の美味しい夏みかんが発見され、これが今日の日向夏の始まりとなっている。この風味抜群の品種を、ポンカンを台湾から日本に導入したことで知られる田村利親が、1890年頃に「日向夏蜜柑」と命名。品種改良、栽培技術の開発により、現在では12月〜5月まで食べられるようになっている。

今回、アイスクリームの新しいメニューを作っていただいた。写真奥は日向夏の皮と汁を使ったアイスクリームに、焼き日向夏を添えたもの。洋酒のコアントローに砂糖を加えたものに漬け込んだ日向夏を、軽くあぶることで香りを引き立たせている。写真手前は、日向夏のゼリーをからませたもの。いずれも気品あふれる初夏の逸品。家庭では食べやすい大きさに切った日向夏にブランデーと砂糖をかけて食べると、格別の味わいだ。

イトヨリダイのけんちん

イトヨリダイのけんちん

淡白な白身に鮮やかな色あい。
祝い膳にも珍重される高級魚。

春先から初夏にかけて、宮崎の漁港にはイトヨリダイが水揚げされる。淡白な白身でどんな料理にも向き、煮ても焼いても鮮やかな赤色が残るので、祝い膳にも珍重される高級魚だ。すり身に卵白を加えたものを、皮つきの切り身でくるみ、けんちん汁に。菜の花など季節の緑を添えて。

トコブシの網焼き

トコブシの網焼き

小さいけれどアワビの仲間。
磯の恵みを炭火焼で豪快に。

アワビをそのまま小さくしたようなトコブシは、思いのほか動きが早く、流れるように移動するので宮崎ではナガラメともいう。新鮮なものを網焼きにして醤油をたらせば、香ばしい磯の風味。大ぶりのものは刺身や醤油と酒で煮付けてもおいしい。

若竹煮

若竹煮

竹の子とワカメを鰹だしであっさりと。
ツワブキの緑もあざやか。

陸の上が初夏を迎える頃、海の中はようやく春になる。海の春を告げる新ワカメと、初夏の風物詩である竹の子の取り合わせは、天才的なひらめきだ。浅い緑とほのかな苦味が両者を引き立てるツワブキを添えて、鰹だしで仕上げた若竹煮。晩酌にしみじみと季節を味わいたい。

あくまき

あくまき

孟宗竹の皮でくるみ、
灰汁で煮る南九州伝統の保存食。

南九州では端午の節句に、このあくまきを食べるところが多い。大きな孟宗竹の皮に包んだもち米を、樫などの木灰の汁で4時間ほど煮て作るものだが、日持ちがするため、関が原の戦いでは島津義弘が兵糧として作らせたともいわれている。きな粉や砂糖をかけてお茶うけにも楽しい。

取材協力
日本料理 瓢亭
都城市栄町4894-4
TEL 0986-25-2600