宮崎県季刊誌「Jaja」じゃじゃ
フォト・ファンタジスタ

↑人家が消えて奥山へ約3キロ、突然この”虹の滝”が現れた。

Photographer Takahiro Ogawa
おがわ たかひろ
1961年 西米良村生まれ
1980年 写真家を志し上京
1988年 独立。東京、南青山にスタジオを設立広告写真家として活動
2001年 西米良、宮崎の人、風景を撮りたいと帰郷を決意
2004年 村の若者を撮影した個展「西米良発 若者図鑑」を宮崎市にて開催
2005年 同展を福岡市でも開催
2006年

87歳の宮崎在住の画家、弥勒祐徳氏を撮影した個展「ミロクノマリョク」を宮崎市にて開催。
西米良の風景とJAZZをコラボレートしたフォトセッションコンサートを福岡市、下関市にて開催。
西米良の風景を撮影した個展「空・地・風・彩」を福岡市にて開催


西米良劇場の深い時間

写真・文:小河孝浩

騒々しい都会の喧噪から奥日向西米良へ帰郷してこの秋で5年になった。宮崎県のほぼ中央に位置する西米良村は人口1300人ほどの、農林業を主な産業とする山村である。北は高千穂、椎葉から連なる九州山脈を背負い、東西に延びる国道219号は西都市から1時間、つづら折りの米良街道をひた走る。

「ガーデニングのお店はあるかしら」、帰郷する前に妻が聞いてきたことがあった。「ガーデニング?家の周りが全部ガーデニングだよ」「・・・。」

3年目を迎えた頃、「最近ね、見えてきたものがあるのよ、川のせせらぎとか星がこんなに綺麗だったなんて。咲いた花が散ると次の花が待っていたように 咲き出すのよね」と、妻が嬉しそうに話した。私もようやく四つの季節を何度か経験して、本格的に風景の写真と向き合えるようになったのもこの頃だ。

西米良の四季

写真左)早苗から今年もまた豊作の田園。
写真右)しっとりと落ち着いた木々は山の風景の真骨頂。

四季折々に見せる山々の表情は西米良劇場の面目躍如。冬にはすべての葉が落ち、繰り返される季節の中で春が訪れ、青々とした若葉が強烈な南国の太陽を受ける。そして秋、見どころの多い村内だが横谷峠の紅葉は見事で、散りゆく木の葉とは思えない自信に満ち溢れた優雅な気品さえ漂う。

そんな感動を想えば、ヒトと植物が同じ生き物だとつくづく思い知らされるし、求めていれば季節が運ぶ言葉まで読み取ることもできる。 季節の中で生きる。我々が共存する地球や宇宙を感じ得る、深い深い時間でもある。

西米良の四季

写真左)機材を担いで山中に。谷水の涼しい風にハッとする。
写真右)山の向こう。夕映えの雲に。

流れに乗る落葉

舞い落ちて動きを止める葉。流れに乗って違う場所で彩る葉。

通学路に咲く彼岸花。

西米良中学校の通学路に咲く彼岸花。

天空を染める朝焼け

晩秋の頃、峠の朝は冷え込む。天空を染める朝焼け。