宮崎県季刊誌「Jaja」じゃじゃ

Jajaバックナンバー

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えびの市末永地区の田の神祭り
台車に乗せられた田の神さあが、集落をめぐる。

毎年5月4日に行われる、えびの市末永地区の田の神祭り。農業人口の減少などから、年々祭りを行うのがむずかしくなっているところも珍しくない中、この祭りは、市内外から見物客が訪れるほどの人気となっている。

その理由は、えびの市が昭和61年から取り組む「田の神さあの里づくり」の中で、末永の田の神像が姿のユニークさから注目され、えびの市のシンボル的な存在になったことと、地元の人たちの熱心さにありそうだ。

地元の人たちもお色直し

祭りの朝は、社(やしろ)の掃除と田の神さあのお色直しから始まる。同時に参加する地元の人たちも、顔におしろいを塗り、化粧をする。この習慣はそれほど古い歴史があるものではないということだが、そのユーモラスな姿をレンズに収めようと、大勢のカメラファンが群がる。その後、89戸の地元の人々が社の前に集まって神事を行い、田の神さあを軽トラックに乗せて三味線や太鼓の音もにぎやかに、地区内を巡る。このお囃子(はやし)は、集落の田の稲に虫がつかないようにという意味が込められているそうだ。

午後は、近くの仮設テントに場を移して直会(なおらい)が始まる。メニューの主役は煮しめとおにぎり。もちろん焼酎もふるまわれ、にぎやかな宴が続く。農業の省力化が進み、集落総出の田植えや稲刈りが減ったことで、田の神祭りの性格も少しずつ変化してきているが、田の神がつなぐ地域のきずなは、いつまでも受け継がれていくのだろう。

化粧される田の神さあ
祭りの朝、氏子たちの手によって社にはしめ縄が飾られ、田の神さあは化粧をされる。

集落総出で行われる神事
集落総出で行われる神事は、おごそかな雰囲気。今年の豊作と息災を祈る。


にぎやかな声に包まれる直会(なおらい)。地域の人が皆で集まり、語り合う大切な場だ。