令和6年度知事との本音トーク分野版(第1回)
内容
開催日時等
開催日時
令和6年7月10日(水曜日)13時30分から15時まで
場所
防災庁舎4階防43号室
テーマ
地域の防災力を高める取組について~高齢者等要支援者を災害から守る~
参加者
本県の防災関係者8名
本音トークの内容
知事挨拶
- 本日は、ご多忙の中、「知事との本音トーク」に参加いただき、感謝申し上げる。県政を進める上で対話と協働を重視しており、この本音トークは、県民の皆さまと意見交換を行う場である。
- 今回は、地域防災に焦点を当てた分野版の本音トークを開催する。今年元日に能登半島地震があり、宮崎も南海トラフ地震のリスクに直面している状況で、防災力の強化には終わりがないと日々感じている。しかし、元旦から数カ月たち、時間の経過とともに人々の危機意識がだんだん薄れていっているのが正直なところだと思う。こうした状況の中で、災害の教訓を生かし、いかにより安全な仕組みを作っていくのかが問われている。
- 私はいま防災士の資格取得に向けて研修などを受けているところであり、防災に関して志を同じくする皆さまのそれぞれの立場で意見を伺い、今後の対策に生かしていきたいと思う。
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本音トークの様子
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主な意見など
1.要支援者の避難対策の課題について
- 消防団として平成17年台風14号の時に高潮が発生するということで消防局と一緒に障がい者の家庭を回って避難所への避難を支援したが、1人に対して1時間程度時間がかかった。一晩中やっても5人程度しか運べず、この課題を解消するには事前の避難しかないというのを実感している。
- 災害時のマンパワー不足が懸念される。町の個別避難計画の担当をしているが、町の職員で実際に動ける人がどれくらいいるのか、昨年までのコロナ禍で訓練が不十分な点もある。また、通常の避難所では生活できない方のための福祉避難所も町内に1箇所設置されているが、開設されたことがないと聞いている。実際に機能するのか、計画通りにいくのかなど不安も多い。
- 町内の公共交通手段が限られているため、普段から交流がなく、近隣に頼れる方がいないケースや、障がいや難病の情報を家族が地域に出したがらないというケースがある。支援しようと思っても、その垣根が越えられない状況で、実態把握に課題を感じている。
- 備えられる災害に対しては早期避難が有効であるが、南海トラフ地震などの突発的な災害については、要支援者をどう避難させるか、施設関係者は課題を抱えている。個別計画の策定は大切だが、まず家族や近所の方と防災について話し合ってもらうところが重要である。個別避難計画にはサポーターという避難を支援する方の名前を記載する欄があるが、それが強すぎる責任感に繋がってしまうと、今度はサポーターのなり手がいなくなってしまう。突発的な災害では、消防団なども間に合わない。地域でのコミュニケーション、防災意識の向上などソフト事業の強化をしなければこの課題解決は難しいというのが実感である。
- 民生委員として災害時の要支援者名簿を把握しているが、突発的な災害においては消防の助けもすぐには来ないし、自分たちもなかなか助けに行けないということを日々伝えている。また、避難所に行っても特異な目で見られたくない、自宅から逃げないという障がい者の家族の方々もいる。そういう方々をどうしたら支援できるか悩んでいる。
- 県内に児童養護施設は10箇所ある。施設の子どもたちには、特性と言われるようなこだわりや、いつもと違う状況になった時に適応できずパニックを起こす子も多い。避難所でそうした子どもたちが周囲に迷惑をかけないよう自分自身も被災している職員がケアするのはメンタル的に厳しく、マンパワーも足りない。個別避難計画が必要な方々に比べれば、身体に障がいがある子どもたちではないので、食事ができれば命をつなぐことはもちろんできるが、被災から日にちがたつ中で、後回しになって見過ごされてしまわないといいなという不安が職員の中にある。
- 高齢者施設の運営をする中で、自分たちの事業所の及ぶ範囲でしか災害時の計画が作れない。もし、周囲の企業と協定締結などできれば、できることが増えるのではないか。大事になってくるのはモノと人であり、関わってくれる人が何人いるのか、どうやったら不安なく生活するためのモノが準備できるのか、この2点が大きいと感じる。行政が間に入って、「人は出せないがモノは出せる」「モノは出せないが人が出せる」それぞれの特色を持つ集団を募り、役割を提示しておけば、動きがスムーズになると思う。
- 相談支援事業所を運営しているが、災害時の避難について利用者の方と話し合うようにしている。障がい者の方でも、どこに障がいがあるか見た目に分からない方もいるため、福祉避難所などの利用の際には自分たちがつなぎ役をしなければならないと感じている。障がい者の個別避難計画は重度の方に限られるため、全ての方の避難計画に関わっていくというのは日々の業務の中では至らないのが課題だと思っている。
2.災害対応における女性の視点について
- 避難所における女性への配慮の一つとして鏡の設置があったら良いと思う。身だしなみに気を遣うなど、日常から遠ざからない気持ちが絶えずあった方が良い。
- 必要な物資やスペースなど挙げていけばキリがないが、やはりこういうものが最低限あった方が良いというベースラインを作り、共有しておくことが大切だと思う。授乳や夜泣きなど子育て世代特有の悩みもあるので、避難所ごとにスペースを分けるなど柔軟な対応ができれば過ごしやすい避難所になっていく。
- 何歳児検診などで、確実に子育て世代に会える機会があるはずなので、その時に、今避難所に行かなければならなくなったら何が必要なのかをさまざまな家庭からヒアリングしておくというのは、子育て世代の女性の視点を取り入れる取組としてすぐできることだと思う。
- 町職員の避難所運営訓練を行なった時に、若手の女性職員が、親が同伴していない子どもと、個人で避難された高齢者をセットで1つの部屋に入れていた。一人同士なので、お互いに話ができて、コミュニケーションが取れることは心強いだろうという判断で入れたと聞いた。そのような視点を持っているのは素晴らしく、参考になった。
- 昨年、3日間ほどの停電を経験し、お風呂に入れなかったことが大変苦痛だった。気になって眠れず、眠れなくなると精神が不安定になり悪循環である。特に臭いが気になるので、精神的に落ち着くアロマを焚くことも気分が変わって良いのではないかと思う。
- 実際に被災した方に、パーソナルスペースが保たれないことや周囲を気にしなければならないことなどのマイナス面を考えて避難しなくて良かったと言われたことがあり、行政としてできるだけこういった意見が出ないように不満を小さくしていかなければならないと思った。実際に避難所を開設するとなった場合には、例えば女性窓口を作って、女性が言いやすい環境を用意することや、他の方が仰っていたように事前にどのような配慮が必要なのか聞いて準備をしておくことなどが大切だと感じた。
- 宮崎市の女性消防団は約100名程度在籍しており、普段は救急救命の指導やイベントの運営などの活動をしているが、災害時は避難所運営が求められる。女性消防団が消防服を着て避難所に居るだけでも避難者は安心できると思う。また、女性の学生消防団にも活躍してもらっているが、地域に外国人の方も居るため、通訳などの役割でも期待している。
3.多様な主体が連携した防災対策について
- 消防団は各自治会と連携して、自治会ごとにある防災倉庫にある程度の資機材を備蓄し、いざという時に使えるようにしている。倉庫にある発電機などの取扱いや救急救命訓練などを重ね、自治会との連携を強化している。
- 避難計画を進めていく中で、例えば難病の方は保健所と、障がいのある方は支援相談員と連携することが想定されるが、そういうところとどうやって連携していくかを考えなければならない。
- 高齢者の方だと大半の方に持病があったりするため、医療機関との連携によって居住地と遠いところで受診しても薬をもらえるような仕組みがあると安心材料になって良い。地域内においては、コンビニやスーパーなどとの食料品確保の連携なども考えられる。また、空き家の活用もできると良い。
- 県に協力してもらい、町で中高生対象の防災士の養成講習を開くことになっている。若年層から防災意識を啓発して、少しずつそれが地域につながって、大きな流れになると良いと思っている。また、避難訓練でも資格を取る予定の中高生にアイデアを出してもらって、避難ルートを検討するという取組も行なっている。時間はかかるが、小さいところからはじめて、その子どもたちが大人になった時に防災についてまたいろいろ考えてくれることを期待している。
- 防災講座を開催し、自治会や小学校などで防災に対する知識を広める活動をしている。ただ、自治会の加入率の低迷で、地域における災害に対する危機管理が危うくなっている。地域を守るためのまとまりが必要だと感じる。
- 災害時に子どもを一緒にケアしてもらえる大人が1人多いだけで全然違う。保育士や教員OBなど子どもと関わるノウハウがある方であればより良いが、一般の方でも問題はなく、一緒に遊んでもらえるだけで子どもは安心する。今、里親委託という社会的養護の取組を進めているが、その委託の里親の方々にも協力してもらい、先述の方々も含め、災害時に要請したら来てもらえるよう事前登録などの仕組みがあると良い。
- 各種職能団体で災害時派遣登録は行なっているところもあるが、実際に災害が起こった時に本当に人が出せるのかは難しい部分がある。でも1人2人来てくれるだけで本当にありがたいので、各団体が行なっている派遣をある程度統括し、整備してもらえると心強い。
- 学校における避難訓練などは昔から行われているが、地域にたくさんある障がいがある子どもたちの支援事業所においても、小規模な団体にはなるが避難訓練を自治会や地域の方と一緒にできれば良いと思っている。やったことがある、見たことがある、聞いたことがあるという経験が安心につながる。避難訓練をどこかの事業所が地域を代表してやるのではなく、全員が体験できることが大切であり、県や市などが中心となって気軽に体験できるようなパッケージとして事業所側に提供してほしい。
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知事総括
- 本日の「知事との本音トーク」における皆さまの貴重なご意見と情報共有に心から感謝申し上げる。限られた時間と人数の中で、非常に密度の濃い内容であり、本当にさまざまな気付き、提案、問題提起をいただいた。皆さまの知識やアイデアをいかに組み合わせて仕組みを作っていくのかが重要だと考えている。
- 冒頭にも申し上げたが、防災力の強化には終わりがない。関係機関とさらに連携を深めて、対策を進めていく。
- これからも、皆さまのご協力とご支援をお願いしたい。
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