宮崎県季刊誌「Jaja」じゃじゃ

Jajaバックナンバー

http://www.pref.miyazaki.lg.jp/

日向市・細島 島田実さん
沿岸マグロはえ縄漁

舵をとる島田実さん。
舵をとる島田実さん。この航海には、初めて船頭役としてのぞむ。
大東島から三陸沖までマグロを追う19トンのはえ縄船

細島港から出港する直前の、近海マグロはえ縄船「日の出丸」(日向市漁協所属・19トン)を取材させていただいた。

マグロはえ縄船には、沿岸(10トン未満)、近海(10トン以上)、遠洋(120トン以上)と3種があり、日の出丸はそのうち、中型クラスに属する。それでも、沖縄周辺から大東島、北は三陸沖まで、マグロを追って駆け回る。この出漁では、しばらく銚子沖が漁場になるそうだ。今回は、後述する漁師料理こなます(P10参照)を作っていただいた島田元子さん(日向市漁協女性部長)の長男、実(まこと)さんが、療養中の船長に代わって舵をとる。いとこの勝信さんら8人が乗組んでの航海だ。

「日の出丸は叔父が船長で、父が船主。いとこは今回、機関長を務めます。ほんとにマグロ一家ですね。一度、漁に出れば水揚げ港と漁場の往復ですから、細島にはなかなか帰ってこれません。時々、帰ってみると、行きつけのお店がなくなっていたりします(笑)」

水揚げされるビンチョウマグロ 19トン級のマグロ船
水揚げされるビンチョウマグロ。
出港を待つ19トン級のマグロ船。

はえ縄の長さは、約70キロメートル。これに1500本ほどの枝鈎(えだばり)をつけて流し、ビンチョウ、キハダ、クロマグロなどを釣る。幹糸には目印になる電波を出すラジオブイがつけられ、操舵室は魚群探知機やレーダーなど最新の設備が整う。

細島港の近くには、飛島という無人島があり、恵比須様が祀られているという。ここは地元の漁師たちの守り神で、漁に出る時は、島影に祈りながら出港していく。あわただしい準備が終り、船はあっけないほど簡単に岸壁を離れて、長い航海に出ていった。次に帰ってくるのは、4か月後だ。

はえ縄 日の出丸
きれいに整えられて出番を待つ、はえ縄。全長70kmにわたって、この仕掛けを流す。 岸壁で見送る家族の前をゆっくり通過した日の出丸は、加速しながら外海へ出ていく。

宮崎カツオ、マグロ紀行