宮崎県季刊誌「Jaja」じゃじゃ

Jajaバックナンバー

http://www.pref.miyazaki.lg.jp/

南郷町・目井津 守山喜義さん
カツオ一本釣り

カツオ船の釣り竿
カツオ船には、一人あたり30本、全部で600本以上の釣り竿が積まれている。
最新のハイテク装備と快速が自慢、
日本一の水揚げを誇るカツオ一本釣り

近海かつお一本釣りの漁獲量日本一の宮崎県。その中心のひとつである目井津漁港に、屋久島周辺での漁を終えた第八喜興丸(南郷漁協所属・150トン)が帰ってきた。船主の守山喜義さんは、26歳の時に自分の船を持ち、カツオ・マグロを追って、世界の海を駆けてきたベテランだ。

「カツオ漁は毎年、2月上旬の南西諸島周辺から始まります。それから4月、5月は小笠原の西あたり、6月になると伊豆七島、その後、三陸沖へと進んで11月くらいまで続きます。今は、屋久島周辺で漁をしてから南郷に帰りますが、この後は勝浦港や気仙沼港が拠点になります。ただ、8月の黒潮まつりは例外で、その時には気仙沼から飛行機に乗って帰ってきますよ(笑)」

守山さんが所有する320トンのマグロ船 守山喜義さん
守山さんが所有する320トンのマグロ船。燃料代の高騰で、現在は休漁中とか。 19歳で漁を始め、26歳で船長に。カツオ・マグロ漁のベテラン、守山喜義さん。

漁が終われば一刻も速く水揚げをする必要があるカツオ船は、快速が自慢。2200馬力のディーゼルエンジンを積み、最高15ノットで走る。その分、最近の燃料代の高騰が響く。

「今、A重油の価格は1リットル80円代。ここ数年で2倍になりました。満タンで約500万円です。魚価も低迷していますし、魚も減ってきている。なかなか苦しい状態が続いていますね」

カツオの群れは、まず水温の分布で見当をつけ、海鳥レーダー、各種ソナーを駆使して探す。群れに出会えば、生きたカタクチイワシを撒き、散水してカツオを興奮させ、バケと呼ばれる疑似餌で一本釣りする。一人、30本ほどの釣り竿を持ち、状況に応じて使い分けるそうだ。長年、カツオを食べてきた守山さんに、もっともおいしいと思うカツオを聞いてみた。

「晩秋の三陸沖で獲れる下りカツオは、『エビジャコ食い』といいまして、脂がのってうまいですね。それから、春先に南郷に水揚げされる屋久島のカツオ。この二つが最高ではないでしょうか。もっとも、最近の船員たちは冷凍食品など食べていますけど(笑)」

仕掛けを曳く竿 舟型をした潜行板
カツオを釣るバケ(疑似餌)。素材は、シイラの皮を乾燥させたものが一番だという。 写真の水温分布計のほか、ソナーやレーダーなど多くの機器を使って、カツオを探す。

宮崎カツオ、マグロ紀行