宮崎県季刊誌「Jaja」じゃじゃ

Jajaバックナンバー

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日南市・大堂津 阪口順一さん
カツオ曳き縄漁

阪口順一さん
一年中、さまざまな魚を釣る、阪口順一さん。「80歳までは現役で」と語る。
カツオにシイラ、トビウオ、ヨコワ。季節ごとの獲物を狙う一人船。

宮崎ではマギリ漁と呼ぶ曳(ひ)き縄漁は、トローリングに似た日本独特の漁法だ。船の両舷から、物干し竿のように太い竿を出し、そこに疑似餌をつけた糸を結んで、カツオやサワラ、ヨコワ(小型のクロマグロ)などを狙う。多くは5トン未満の小型船で、たいていは一人で漁をする。 日南市・大堂津漁港の阪口順一さんも、毎日のように一人で沖に出るマギリ漁師だ。

「私は、何が専門ということはないのですよ。カツオだけではなくて、シイラやトビウオも釣っています。ただ、面白いのは、やっぱりカツオが面白い。カタクチイワシの群れについている時などは、カツオも興奮していますから、仕掛けを入れるか入れないかという間に、もう飛びついてきます」

糸の先には、潜行板と呼ばれる仕掛けがついていて、カツオの泳ぐ深さに合わせて疑似餌を曳く。カツオが掛かれば、潜行板が浮いてくるので、それが目印にもなっている。最近は、曳き縄だけでなく一本釣りも始めた。

仕掛けを曳く竿 舟型をした潜行板
仕掛けを曳く竿は、両舷が一本ずつ出す。この竿が、曳き縄船のシンボルだ。 舟型をした道具が潜行板。水圧を受けて一定の深さに疑似餌を保つ。

「魚がたくさん集まって活性が高い時は、水面がざわざわしています。そうなると、群れの上で散水しながら一本釣りですな。その方が、曳き縄よりも効率が良いですから」

漁に出るのは、朝4時半頃で、昼頃に港に帰ってくる。他の漁師は、いい漁場を確保するために2時頃に出ていく人も多いが、阪口さんは無理をせず、ゆっくり出ていって「漁場の端っこの方で」漁をする。

「中学を出て、すぐに漁師になって、もう70歳になりました。他の仕事のことは考えたこともありません。あと10年、80歳までは続けたいと思っております。そのためにも、のんびりとやりたいですな(笑)」

阪口順一さんが操縦する漁船

宮崎カツオ、マグロ紀行