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生命の宇宙「青島」写真・文:芥川 仁 宮崎の観光地を代表する青島は、周囲わずか八百六十メートルの小島である。ずんずんと歩けば十分間ほどで一周できる。この小さな島で、シダ以上の高等植物が二百二十六種、シダ十七種、苔二十五種、地衣類三十二種、菌類八十種、粘菌二十四種が確認されている。 夏の闇夜、ビロウの花殻についたエナシラッシタケが、ほのかな青白い光を放つ。 中でも珍しいのは、光るキノコのエナシラッシタケだ。夏の闇夜、じっと目を凝らしてビロウ林の地表を見つめていると、ほんのりと青白い光を見ることができる。 写真左)クロサギは留鳥として生息し、年間を通じて岩場で餌を探す姿を見ることができる。 この他に、青島で確認されている生物は、昆虫が二百九十九種、クモは三十九種、鳥類が十九種などである。樹林の中に佇み、じっと耳を澄ましていると、潮騒に混じって、生命が闘う音が微かに聞こえてくる。足元では、落葉の下で生命が蠢く気配を感じることができる。 人類が足を踏み入れる以前から、青島は、輪廻を支えてきた生命の小さな宇宙であった。だからこそ私たちは、青島に魅せられるのである。 島の北西部にあるビロウの純林。夕日が林に差し込む時、ビロウ樹が赤く燃える。 写真左)昆虫299種の中でも馴染み深いのはクマゼミ。 潮が満ち始めた鬼の洗濯岩で、ヤドカリ、エビ、カニ、小魚などが静かに闘いを繰り返していた。 夜明け前の空は、いつもドラマチックに幕が開く。
データは「青島総合調査報告書」 |