宮崎県季刊誌「Jaja」じゃじゃ

Jajaバックナンバー

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浜の瀬川にそびえる奇岩は、
生産と和合の象徴

陰陽石
Miyazaki sightseeing inheritance

小林市を流れる浜の瀬川の上流部に、まさに奇勝と呼ぶにふさわしい景観がある。高さ17・5メートルの男岩と、周囲5・5メートルの女岩からなる陰陽石。霧島の噴火で堆積した溶結凝灰岩を、川の流れが削ってできた自然の造形物といわれ、男女岩が同じ場所にあるのは、全国でも珍しい。 何か特別な自然の意志が働かなければ、このようなものはできそうにないと、現代の私たちも感じてしまうほどの、あまりに見事な造形は、いつしか生産や繁栄への信仰を生み、人々はこの石に子宝の神として祈りを込めてきた。

陰陽石

小林市周辺は、同じく生産の神である田の神像でも知られるが、宮崎最古とされる田の神像が、陰陽石のすぐそばにあることも、その繁栄を願う祈りと無縁ではないのかもしれない。 また、敷地内にある陰陽石神社の由緒書きによると、昇天しようとした竜が地上にいた美人に心を奪われて、そのまま石と化して陰陽石になったという。

下流側から見た陰陽石

近くにある三之宮峡には、「残したい日本の音風景100選」に選ばれた櫓(やぐら)の轟(とどろ)や、高さ30メートルもある屏風岩、水の流れでできた甌穴(おうけつ)など、変化に富んだ渓谷美が広がる。 ヤマメの棲む渓流沿いには、昔のトロッコ道を整備した遊歩道がある。陰陽石と同様に、水と岩が作った自然の造形美を楽しめる散策コースだ。

左)附近には宮崎最古といわれる田の神像がある。
右)陰陽石の上流部にある三之宮峡は、澄んだ流れのほとりに、水流が形成した独特の景観が続く。旧トロッコ道を整備した遊歩道は、散策コースとして人気だ。