令和7年度「知事との本音トーク」地域版(第3回)
内容
開催日時など
開催日時
令和7年8月1日(金曜日)午後1時30分から午後3時まで
場所
日南市役所2階会議室
テーマ
日南市の将来像・魅力
参加者
日南市の皆さん13人
知事挨拶
- 本日は、「知事との本音トーク」に御参加いただき、感謝申し上げる。県政推進においては、「対話と協働」という姿勢を大事にしており、市町村の皆様との意見交換を通じて、そのフィードバックを県政に反映する取組をおこなっている。平日の日中という大変お忙しい中、皆様との貴重な時間を持てることを大変ありがたく思っており、重ねて感謝を申し上げる。
- 物価高に加えアメリカの関税措置など国際社会が流動化し不透明感が増す中で、我々の暮らし・経済を守る取組は待ったなしである。大きな状況の変化の中で、皆様と一緒に、日南市、そして県全体の将来を考えていきたいため、本日はよろしくお願いしたい。
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日南市の将来像・魅力
- 現在、水産業で一番の課題は人材不足である。外国人材の確保について、漁業協同組合が登録支援機関となり、外国の送り出し機関から人材を確保している。トラブル防止のため、日本語の勉強も漁業協同組合で積極的に取り組んでいる。このような取組については、県や市とも連携を図りたいと考えている。
- 製造業も人材不足は深刻である。外国人材の確保について、彼らが帰国してもまた宮崎に戻って来たいと思わなければ選ばれることは難しい。宮崎の地で安心して住むことができる環境づくりをする必要がある。また、外国人も賃金が高い都会に集中する傾向がある。宮崎の魅力を発信しながら、宮崎でなければ得られない幸せをアピールしなければ定着は難しいと考える。
- 経済面での子育て支援は実施されているが、子育ち支援を意識して欲しい。子どもが幸せに成長し、保護者が子育ては楽しく夢があると思う状況を作ることが、結果的に少子化対策につながると考える。現在の子どもは多様化しており、選択肢を用意することが重要である。例えば、発達支援事業所は総量規制が導入されたが、事業所数を制限することには慎重になって欲しい。各施設にも個性があり、子どもが合う、合わないがある。単純に数の充足ではなく、子どもが合う、合わないで選べるように選択肢を用意すべきである。保育施設や障がいの子どもが通う施設は、子どもの数が少なくなっても経営が成り立つ支援をしてもらいたい。
- 子どもの減少で学校も減っている。不登校の子どもは、学校が子どもに合ってないということである。子どもの多様化に現在の教育では対応できない部分がある。宮崎で学びの多様化学校がスタートしたが、同様の取組を増やすとよい。合わせて、不登校の子が通うイメージを変えながら、不登校でなくとも苦しんでいる子どもや学校で夢や希望が見出せない子どもの選択肢を増やす施策があるとよい。選択肢があることで、どの家庭も取り残されることなく、子育ての楽しさ、夢を感じることが、結果、少子化対策につながると思う。
- 今年度は、日南市男女共同参画基本計画改訂の年であり、アンケート調査では、社会全体での男女の地位は平等になっていると感じる人の割合が16%だった。令和元年の20.8%よりも下がっており厳しい状況と感じている。
- 日南市は、人情味溢れる「人に優しいまち」だと思っている。合計特殊出生率が宮崎県は上位にある。「住みたいまち」、「子育てをしたいまち」であることが、男女共同参画社会づくりには必要であり、行政の施策等での後押しをお願いしたい。
- 林業の将来の課題として、個人保有の裸山が増加している。植林の補助対象区域から除外されている地域で増加している現状があり、子に管理を引き継ぐのも難しいという声もある。植林が進まずに放置されるケースでは、山から海への栄養供給が減り、結果的に漁獲量の低下を招く。企業や個人に対して多面的で未来を見据えた支援や補助があってこそ、将来の日南の魅力につながると考える。
- 日南市では飲食店が次々と閉店している。また、夜間営業しない飲食店が増えている。原因は人手不足である。そこに、物価高騰や最低賃金の上昇が追い打ちをかけている。国、県、市を含め様々な支援策があるが、地方に周知できていないと感じる。商工会議所や日南市も含め、周知の徹底が課題である。県にも、更なる支援の充実と周知の徹底をお願いしたい。
- 人手不足で外国人を雇用する機会が増えていくと思うが、住居の提供や宗教の問題等がある。全く無知な企業はどうしたらいいか分からない。
- 日南市はサーフィンをきっかけに県外からの移住者も増えている。移住者の受入体制を充実することで、日南市の人口が増え、宮崎県の人口も増えると考えるため助成措置等をお願いしたい。
- 私は日南市の自然豊かな環境が大好きであり、父の趣味であるサーフィンを始めた。日南市の海はとても綺麗でサーフポイントが沢山ある。しかし、多くの観光客は青島でサーフィンをしている。様々なサーフポイントをPRするため、日南市や県が日南の海でサーフィン大会を開催し、メディアを通して宣伝することで、多くの人々に知ってもらえる機会を作って欲しい。
- 建設業でも少子高齢化に伴う若手の担い手不足に頭を悩ませている。業務のDX化やICT化による努力はしているが、若手社員がいないとデジタル化も進まない。若手社員を獲得するためには、しっかりとした収益がなければ、安定した給料が支払えない。東九州自動車道は、東郷から油津インター区間の工事が進んでおり、同時に、油津港の岸壁の延伸工事も実施されている。地元の建設業者は、等級等の問題で、大きな工事の元請け受注はできない。下請けで受注するしかないが、下請けでは利益的に厳しい。日南土木事務所は、年々予算が減少していると聞いており、地元の一般土木業者としてはかなり厳しい状況が続いている。県予算を増やすため、日南市からも県に対して陳情等をお願いしたい。
- 日南市の強み・魅力は観光だと考える。飫肥には飫肥城があり、スポーツでは、プロ野球、サッカーのキャンプ地である。油津には、クルーズ船の寄港やその他、花峯橋の復元、堀川運河を中心とした文化・歴史・遺産を活用したまちづくりを進めている。距離が近く短時間で回ることができるところはメリットであり、大型観光バスが駐車する場所が油津にはないことが課題である。また、夜間に食事ができる飲食店が少ない課題もある。日南にはいい素材があるため、課題が少しでも解決できればと思う。
- 日南市は沿岸に位置しており、南海トラフ日向灘沖地震による津波被害への対応は待ったなしの状況である。このため、災害対応道路の整備は不可欠であるが、防災拠点である都城市と日南市を結ぶ国道222号線は、アクセスが悪く、脆弱であり大きな課題と考えている。牛ノ峠バイパスの都城側の未整備区間の計画再開の機運が高まっているが、日南市側は改良工から40年以上が経過しており、豪雨等のために補修が必要な状況で、いざという時に機能するか心配である。都城市側と合わせて日南市側も国道222号線の一体的な改良整備をお願いしたい。
- 日本一産み育てやすい県への挑戦に欠かせないのは、医療福祉の充実である。一方で、経営者の高齢化や経営難、人材難の中で、日南でも閉院する医療機関、福祉施設が増えている。そのような中で、重役を担っているのが県立日南病院であるが、経営難、人材難により縮小傾向にある。今後の県立日南病院の方向性があれば教えていただきたい。
- 人材難の中でも、地元専門学校等に協力いただき、新卒の看護師は安定的に採用できているが、経験のある看護師はどの病院も確保できない状況である。転職仲介業者を頼っているが、高額な仲介手数料がかかる。仲介手数料の上昇が経営をさらに圧迫している。他県では看護協会が独自に仲介サイトやマッチングサイトを立ち上げたという事例があり、サイト運営は自治体がバックアップしている。医療人材の確保と都市部への人材流出を抑え、宮崎の中で人材を確保していくための手段や方法について伺いたい。
- 青年部の部員数が減少しており、入会メリットが分からないと言われる。メリットは部員同士のつながりが築けることだと思うが、メンバーの減少を食い止め、逆に増やすためにはどうしたらよいか伺いたい。
- 農業の現場にはトイレがなく、トイレの設置を支援して欲しいという声がある。トイレは県外からの季節労働者にとっても大事な要素であり、トイレがない農家は断られるケースもある。トイレの設置支援も考えて欲しい。
- 日南市は人の良さに恵まれており、高齢者が充実した日々を過ごすのに最適な地である。将来的には全国の高齢者が日南市に移住され、日南市が日本で一番元気な高齢者が多い場所として、賑わうようになればと思っている。
- 高齢者クラブは、地域コミュニティとして重要な役割を果たすと認識しているが、高齢者も過ごし方が多様化し、入会者が少なくなっている。現会員も高齢化し、会員数を維持することが大きな課題である。現在、クラブ活動の主力が80歳前後であるが、人生100年時代の到来で、健康寿命を延ばすことが大切であり、高齢者クラブの活動もそれに沿いながら、なくてはならない存在であることを目指していきたい。
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- 外国人材について、率先して受け入れ、様々な取組をいただいており、感謝申し上げる。人口減少の課題の一つが労働力の確保であり、外国人材が一つの対応策となる。問題は正しつつも、共生していくことが大事である。環境づくりを行い、外国人の方にも安心して仕事をしてもらうと同時に、日本語のレベルアップに向けたサポートをする等、体制作りが非常に大事である。県では、外国人が暮らしていく上での様々な課題に対応するため「みやざき外国人サポートセンター」を設置しており、また、外国人の仕事面のサポートを行う「宮崎県外国人材受入・定着支援センター」をオープンしたところである。
- 外国人材の確保については、黙っていては確保が難しく、選ばれる日本、選ばれる地域である必要がある。賃金水準は都市部の方が高いため、稼ぎたいという方は都市部に流れるが、暮らしやすさや、安心して仕事ができ、自分のレベルアップを図る環境づくりも大事である。宮崎の長所が外国人材間の口コミで広がるような体制を作っていきたい。本県はベトナムと人材確保の面でつながりがあるため、これをもっと広げていきたい。
- 日本はジェンダー平等指数が低い状況である。意思決定過程に女性の参画を増やしていかなくてはならない。仕事と家庭の両立や意識の問題、家庭内における共家事(ともかじ)のアピール等が重要と考える。本県では、男性が育児参加をしたときに必要となる企業のコストを最高100万円支援する補助金を用意している。無意識の偏見や昔ながらの意識を変えていくことが課題であるが、ぜひ全国に先駆けて、意識改革が進む取組ができればと思う。
- 将来のための再造林に取り組んでいる。現在は適地適木という発想で、杉を植えるべき場所、天然更新で普通の山に戻していく場所などの仕分けをして取り組んでいる。
- 飲食店で、需要があっても、人手不足による閉店が相次いでいる状況は残念なことだと思う。外国人材の活用も含め需要に対応していくことが地域経済にとってプラスである。様々な支援策を準備し、商工会議所や商工会等の支援団体とともに、県としても情報発信にさらに努めたい。
- サーフィンは宮崎県、そして日南市の強みである。サーフィンがオリンピック種目に採用されたこともあり、注目度がさらに高まっている。宮崎市の木崎浜、日向市のお倉ヶ浜で大きな国際大会が開催されている。日南市での開催は、駐車場の整備等あるものの、風田浜で大会が悪天候や波の調子によって中止せざるを得なくても、別の浜に変更することができるという選択肢の広さという強みがある。
- 公共事業予算は、国の防災減災、国土強靭化対策で更なる補正予算も組まれており、事業量は以前と比べるとある程度確保できている状況である。県単事業等によるきめ細かなインフラ整備の予算も確保しており、引き続き地元にも配慮して、取り組んでいきたい。
- 観光面で、日南市には様々な魅力とポテンシャルがある。観光は日南市の強みであり、伸びしろの部分である。都市部はオーバーツーリズムという程にインバウンド需要が高く、都市部から地方に海外のお客様を引き入れることが課題である。日南市を含め、宮崎は九州全体でも伸びる余地が大きいと考える。2月は観光客が落ち込む時期であるが、スポーツキャンプで経済効果をあげられるのは、これまでの取組の成果である。
- 防災の道路整備は非常に重要である。日南市は内陸の防災支援拠点である都城との連携が大切である。様々なバックアップ道路や代替道路について更に充実を図ることが重要である。
- 医療・福祉の分野も人材確保が極めて重要な課題であり、医師、看護師そして県内では薬剤師も不足している。各関係団体と連携しながら、それぞれの分野の人材確保の取組を進めている。都市部への人材の流出を減らし、一度県外に出ても宮崎に戻ってくる人材をどう確保していくか、情報発信、窓口設置等がポイントと考えている。医師、看護師、それ以外の医療・福祉を担う人材確保は、他県とも連携しながら国に要望し、仕組みづくりを進めていきたいと思う。
- 地域医療としては、高速道路の開通により、大学病院や県立宮崎病院に高度医療を頼ることができるようになったことはプラスだが、一方で、患者が集中してしまうという反面もある。この地域の医療拠点である県立日南病院についても、人口減少が進む中で、環境変化に対応した医療のあり方、地域のニーズに合った形で再編を議論し、民間病院とも連携をしながら、どういう機能分担をすべきかを真剣に議論している。
- 高齢者クラブも以前と比べると全体的に寿命が延び、趣味も含めて個人が多様化をしている。高齢者クラブが趣味も含めて緩やかにつながりを持つきっかけとなり、人と会って刺激を得ることが健康長寿につながると思う。
- 本当に幅広いテーマから意見をいただいた。サーフィンも含めて観光のポテンシャル、日南市の更なる可能性のお話を伺うことができた。様々な変化はあると思うが、その変化にしっかり対応しながら、それぞれの組織の果たすべき役割を今の時代に合った形で担いつつ、行政としてもサポートしていくことが大事と考える。
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