県広報みやざき

木のある暮らし、未来のために

四半世紀にわたってスギ素材生産量日本一を達成している宮崎県。
その現場を支えているのは、山を育てる林業従事者の人たち。 そして木を木材へと加工する製材業者の人たち。
今だけではなく、未来のため、山に、そして木に向き合うことが、スギ生産量日本一達成の大きな原動力につながっています。
私たちが山の「今」、そして「未来」について知ることが、木のある暮らしへつながる第一歩なのではないでしょうか。

今こそチャンス。勝負の時。大好きな山とともに。

小田 直樹さん 小田 直樹さん
(小田林業代表者)

これまでの山との関わり

18歳の時から父親と一緒に林業を始めました。
はじめは椎茸に興味があったのですが、家が山林を持っていたので、山の仕事に携わるようになり、林業の魅力にとりつかれました。
醍醐味がありますよ。伐採作業のスケールの大きさが何よりも魅力です。
20歳過ぎから別の会社で働きながら研修を積んで、25歳の時に今の会社を立ち上げ、25年目になります。
現場で働く中で、きついことはたくさんありました。そんな中でも、山での作業や技術を研鑚していくこと、そして他の人にはできないことでもできるようになること、それがまた、山に対する魅力にもつながっています。
そして、その技術が従業員にきちんと受け継がれ、立派に一人前に作業が出来るようになった時、本当に嬉しいです。

山の今

山の仕事を厳しいと思ったことはないです。作業自体は大変ですが、努力とやり方次第でどんどんステップアップできる。
今は、バイオマス発電などで木材の利活用が進み、今まで捨てていた部分がお金になるようになりました。
また、Iターンなどで林業に就業する若者もみられるようになっています。うちの会社にも、東京から28歳の女性が入社しました。未経験者ですが、やる気があって、一緒に頑張っています。きつい仕事でも、みんなで取り組めば、すごく楽しい仕事にかわります。
林業全体で見れば、今はチャンスの時期かもしれません。新しい視点を持って、新しい感覚の若者と一緒に仕事をする。木材の新たな利活用も、林業を後押ししていると思います。

山の仕事の魅力を伝えたい

これから山を「再生」することが何より大切だと考えます。
私は伐採の仕事を中心にしていますが、切るだけでは山の未来はありません。木を切った後、木を植えて山を育てていくべきだと考え、取り組んでいます。さらに、切った木を加工し利用する…その一連の流れをきちんと作っていくべきです。
山の仕事の魅力を、まずは私たちが自信を持って発信していくこと。そして、木育と並行して、現場の魅力を体験できるような機会を設け、本当に山が好きだと思える人と一緒に仕事をしていきたいです。それが未来のために、私たちができることではないでしょうか。

派手さはないけど、人の幸せのための手伝いができる仕事。

高嶺 清二さん 高嶺 清二さん
宮崎県木材協同組合連合会会長((株)高嶺木材 代表取締役)

製材工場の息子として

19歳の時、父親が急死したため、大学を辞めて戻り、会社を継ぎました。
小さい時から「跡取り」として周りからも思われていたので、中学生の時から工場の手伝いをしてました。
自分が高校を卒業して数日後、工場が全焼しました。私は工場を継ぐつもりだったので、工場がないのなら大学へ行かせてもらうと家を出ました。父親の苦労がわかっていなかったですね。
父親は、私の気持ちを知り、工場を再建してくれました。父親と仕事や山の話をしたことはほとんどなかったのですが、今思えば、愛されていたんですね。
その工場を継いで、実際に働き出すととても大変でした。でも、小さい時から、良い仕事だと思っていたんです。家族の癒やしの場所となる家の材木を私たちが作っている。地味ではあるけど、人が幸せを感じるためのお手伝いができる。本当に良い仕事です。

山の今

伐採後、植林されず放置されている山が多くなっています。子どもが県外へ行って、地元にいる山主が少ないのです。
その上、植林費用など山の管理のための経費もかかるため、相続などで山を持った人は、植えるのは大変かもしれません。
間伐がされない山も増えています。間伐がされないと、雑草さえも生えない山となり、土砂災害が発生しやすくなります。
日本ほど水が綺麗な所はないですよ。それは、山があり、木があるからです。山をきちんと管理して、植林から伐採の流れを循環させることを、みんなで考える必要があります。

山の未来のために、”木“を知ろう

木材は高いというイメージがあるかもしれないけど、実際は安いです。製材工場から、木を買ってきて自分で色々想像して作ってみるのも面白いです。親子でやれば、小さい時から木に触れるきっかけになります。そして、何より、木に愛着がわきます。
スギの木は柔らかくて、暖かい。それも触れることでわかるのです。
木の役割を多くの人に伝えていきたいです。木の本質を知らなければ、木とは上手に付き合えないから。せっかく近くにたくさんの木があるので、木を賢く使ってもらえると良いなと思います。

木のある暮らしってどんな感じ?

私たちの身の回りにはたくさんの「木」がありますが、木の香りや温もり、心地よい手触りなど、木の良さを身近に感じる機会がありますか?
ちょっと意識して、「木のある暮らし」始めませんか。木と触れあうチャンスはたくさんあります。

「木づかい運動」進行中!

木育ワークショップで、実際に木に触れて楽しむことで、親子で木を「知って」「使う」ことのきっかけに。

豊かな森林を次世代に引き継いでいくためには、木材の良さや利用することの意義について理解と認識を深めることが重要です。県では、「知ろう」「使おう」「広げよう」を基本理念に、県民全体で県産材の地産地消を進めるため、「みやざき木づかい県民会議」を平成25年2月に設置しています。
「木づかい運動」とは、「木づかい」の大切さを広く県民の皆さんに知ってもらうために、子どもたちに対する木育活動など官民一体となってさまざまな活動に取り組むことです。

新たな木育活動

木に触れて、木と遊ぶ。幼少期より親子で体験をすることで、木を学ぶきっかけが生まれます。
さらに、そのきっかけを「つなげる」ことが大切です。そこで、県では木を使うこと、また木を生み出すことに興味をもってもらうため、高校生を対象とした木育活動も行っています。
これまで、高校生がおもちゃを開発するワークショップや現地見学ツアーなどを行ってきました。また、高校生の保護者を対象に、現地見学ツアーも実施しました。

木の空間を楽しもう

県内には、キッズルームなど室内で木と触れあう施設や、実際に野外でさまざまな活動を体験できる場所があります。実際体験して、自然や森林の働き、木の香りや温もりを知ることが、これからの木のある暮らしにつながるのではないでしょうか。

株式会社良品計画のオフィス

株式会社良品計画のオフィス
県産スギ材を使用したオフィス家具が導入されるなど、県外でも新たな利活用が広がっています。

日南市子育て支援センター「ことこと」

日南市子育て支援センター「ことこと」
内装やおもちゃなどに飫肥杉がふんだんに使われ、木の香りに包まれた空間になっています。

めぐる木のめぐみ

木のある暮らしを、まずは私たち県民が大切にしていきましょう。
県産材の「地産地消」は、県民の皆さんと一緒になって取り組んでいくことが大切です。
私たちが県産材の魅力を知り、活用することで、県外、海外へ県産材の魅力を広めるステップにつながっていくと考えます。
2020年には、オリンピックパラリンピック東京大会も控え、県産材が活用されることも期待できます。大きなチャンスです。

使うために植えた木はきちんと使い、そしてまた植え、育てていかなくてはなりません。
木のめぐりを良くすること。それが未来のために私たちが今、できることではないでしょうか。

そして、宮崎からの「木づかい」を、より多くの人に広げていきましょう。

今回の特集について詳しくお知りになりたい場合は、担当職員が皆さまの地域にお伺いする「出前講座」により、説明を受けたり意見交換を行うことができます。

お問い合わせ
山村・木材振興課・みやざきスギ活用推進室
0985(26)7156
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