さわやかな夏の味覚を楽しむ。
◆ヤマメのフキ味噌焼き
フキ味噌の香ばしさとともに、渓流の女王、ヤマメを味わう。
川釣りの世界に「梅雨明け十日」という言葉がある。長かった梅雨が明け、山の緑が深みを増す頃、川の水は澄んで魚たちも勢いづく。それから夏枯れで水が減る立秋頃までの短い期間が、魚にとっても釣り人にとっても黄金の日々なのだろう。渓流の女王といわれるヤマメも、新緑の季節とともに、梅雨明けの頃が一年でもっとも釣りやすい。もっとも数が少なく、物音に敏感なヤマメは、昔から幻の魚であった。
ニジマスなどに比べて、あまりにも野生的でデリケートであるため、養殖は不可能とされてきたヤマメの人工養殖に日本で初めて成功したのは、五ヶ瀬町の秋本治さん。その歴史は昭和38年に始まる。おかげで、かつては幻といわれたヤマメを、いつでも手軽に味わえるようになった。今回は、味噌焼きに仕立ててみた。焼いたフキをつぶしたものを味噌に混ぜ込んであるので、ヤマメの風味がいっそう引き立つ。緑がしたたるような夏の渓流を思いながら、こんな一品はいかが。
◆川エビと夏野菜のから揚げ
夏野菜とテナガエビをさっくりと揚げて。懐かしい川の風味を楽しむ。
夏休みに近くの川でテナガエビやスジエビを獲ったのは楽しい思い出。今でも専用の小さなエビ網を売っているのをみると、現代の子供たちにも受け継がれているのだろう。門川産のテナガエビをレンコン、ズッキーニとあわせてから揚げに。殻ごとさくさくと食べると、どこか昔の川の風味がするようだ。
◆ゴーヤーの射込み天ぷら
ゴーヤーの苦みと生湯葉の食感。詰めもののほんのりした甘さが絶妙。
チャンプルーや焼き物が定番のゴーヤーだが、ちょっと凝ってみた。種をくりぬいた中に生湯葉と卵、ニンジン、椎茸を合わせて詰めて、天ぷらに。生湯葉のおだやかな味わいとゴーヤーのさわやかな苦みがよく合う。奥山の谷川に棲む沢ガニも香ばしさを添えてくれる。
◆かつおめし
豪快な漁師料理をアレンジ。祝いの席にもふさわしい一品に。
近年ブームになっているかつおめしは、もともと漁師の船上料理だった。醤油に漬けたカツオを熱々のごはんにのせてかきこむものだが、お盆に親戚が集まった時など、ちょっとお洒落にアレンジしてみるのも楽しい。さっとあぶった腹身と絹さや、生姜の刻みを添えて。人数が多ければ、寿司桶で供するのもいい。
◆トマトそうめん

トマトの風味とだしのきいたゼリーが、素麺を引き立てる夏の贅沢。
宮崎トマトの評判が高い。香り高く味も濃く、塩をつけてかぶりつきたくなる絶品のトマトは、丁寧な土づくりなど農家の努力のおかげなのだろう。写真では見えないが、くりぬいたトマトにそうめんが詰めてある。つゆはだしをきかせてゼリー仕立てに。エビやオクラとともに、十分に冷やして味わう贅沢な夏の味覚。 |