掲載開始日:2021年1月29日更新日:2021年1月29日

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第1章建設リサイクル法

1.建設リサイクル法の目的

特定の建設資材について、その分別解体等及び再資源化を促進するための措置を講ずるとともに、解体工事業者について登録制度を実施することなどにより、再生資源の十分な利用及び廃棄物の減量等を通じて、資源の有効な利用の確保及び廃棄物の適正な処理を図り、もって生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

2.建設リサイクル法の概要

(1)建築物等に係る分別解体等及び再資源化等の義務付け

  • 特定建設資材を用いた解体工事又はその施工に特定建設資材を使用する新築工事等で一定の規模以上のもの(対象建設工事)について、施工方法に関する一定の技術基準に従い分別解体を実施
  • 分別解体等に伴って生じた特定建設資材廃棄物について、再資源化等を行う(再資源化が困難な場合には縮減)

1.分別解体等実施義務

  1. 分別解体等の実施義務の概要(法第9条)
    特定建設資材を用いた建築物等の解体工事又はその施工に特定建設資材を使用する新築工事等であって、その規模が一定基準以上のもの(以下「対象建設工事」という。)の受注者又は自主施工者は、正当な理由がある場合を除いて、施工方法に関する基準(省令)に従って分別解体等をしなければならない。
  2. 特定建設資材(法第2条第5項、政令第1条)
    分別解体等及び再資源化等の対象となる特定建設資材の指定に当たっては
    • 1)その再資源化が資源の有効利用及び廃棄物の減量に大きく寄与するものであること
    • 2)再資源化技術が確立・普及しており、再資源化の経済性の面における制約が著しくない
      (義務付けが過度の負担にならない)
      ことの2点を考慮し、次の資材を特定建設資材として指定している。
    • 特定建設資材
      • コンクリート
      • コンクリート及び鉄から成る建設資材(プレキャスト鉄筋コンクリート版など)
      • 木材
      • アスファルト・コンクリート
  3. 対象建設工事(法第9条第1項、政令第2条)
    規模の小さい建築物等に対する分別解体等及び再資源化等の義務付けは、義務を履行する上で必要な費用等に対して得られる効果が小さいことから、本法ではこれらの義務付けを一定規模以上の工事(対象建設工事)についてのみ行うこととし、次の規模以上のものを対象としている。

    対象建設工事の種類 規模の基準
    建築物の解体 床面積の合計80平方メートル
    建築物の新築・増築 床面積の合計500平方メートル
    建築物の修繕・模様替え(リフォーム等) 請負代金の額1億円
    建築物以外のものの解体・新築等(土木工事等) 請負代金の額500万円
  4. 分別解体等の施工方法に関する基準(施行規則第2条)
    分別解体等の施工方法について記載された省令では、特定建設資材廃棄物をその種類ごとに分別するための適切な施工方法に関する基準となるべき事項を定めており、下記の分別解体等の順序とその内容を規定している。
    • 対象建築物等に関する調査の実施
    • 分別解体等の計画の作成
    • 事前措置の実施
    • 工事の施工

また、作業手順として、

  1. 建築物の解体工事の場合
    • 建築設備、内装材等の取り外し
    • 屋根ふき材の取り外し
    • 外装材及び上部構造の取り壊し
    • 基礎及び基礎杭の取り壊し
  2. 建築物以外の工作物の解体工事の場合
    • 工作物に付属するものの取り外し
    • 基礎以外の部分の取り壊し
    • 基礎及び基礎杭の取り壊し

という原則を定めている。
なお、建築物の構造など施工の技術上これにより難い場合はこの限りではない。

2.再資源化等実施義務

対象建設工事の受注者は、分別解体等に伴って生じた特定建設資材廃棄物について、再資源化をしなければならない。但し、指定建設資材廃棄物として政令で指定した特定建設資材廃棄物(建設発生木材)については、工事現場から一定の距離の範囲内(50キロメートル)に再資源化施設がない場合など、再資源化を図ろうとすると受注者に過大な負担がかかる場合には、焼却等によりその容積を減らすこと(以下「縮減」という。)で足りるとしている。

(2)発注者・受注者の届出・契約等の手続き

発注者などによる工事の事前届出や元請業者から発注者への事後報告、都道府県知事等による助言・勧告・命令等により、適正な分別解体等及び再資源化等の実施を確保

1.発注者・受注者の届出・契約等の手続きの整備の措置の概要(法第10条~第15条、第18条~第20条)

  1. 発注者又は自主施工者に課せられる義務
    対象建設工事の発注者又は自主施工者は、工事に着手する日の7日前までに建築物等の構造、工事着手時期、分別解体等の計画等について、都道府県知事(又は建築主事を置く市町村の長)に届出なければならない。
    また、都道府県知事(又は建築主事を置く市町村の長)は、その計画が施工方法に関する基準に適合しないと認めるときは、発注者に対し分別解体等の計画の変更等を命ずることができる。
  2. 受注者に課せられる義務
    元請業者は、対象建設工事を請け負うにあたり、発注しようとする者に対して分別解体等の計画等の必要事項を書面で説明しなければならない。また、元請業者・下請負人に関わらず対象建設工事を請け負う者は、下請負人に対して発注者が都道府県知事(又は建築主事を置く市町村の長)に対して届け出た事項を告げなければならない。(法第12条)
    また、元請業者は再資源化等が完了した際、その旨を発注者に書面で報告し、併せて再資源化等の実施状況に関する記録を作成し保存しなければならない。
  3. 双方に課せられる義務(法第13条)
    発注者と元請業者の契約に際し、契約書の中に建設業法に定められた事項のほか、分別解体等の方法、解体工事に要する費用等を明記することで、両者が解体に関して適正な費用を負担する意識をしっかりと共有することを求めている。
  4. 都道府県知事等による助言・勧告・命令
    都道府県知事(又は建築主事を置く市町村の長)は、分別解体等の適正な実施を確保するために必要があると認めるときは、当該建設工事受注者又は自主施工者に対して分別解体等の実施に関し、必要な助言又は勧告を行うことができるほか(法第14条)、対象建設工事受注者又は自主施工者が正当な理由がなく分別解体等の適正な実施に必要な行為をしない場合には、分別解体等の方法の変更その他必要な措置をとるべきことを命ずることができる。(法第15条)
    また、再資源化等に関しても都道府県知事(又は地域保健法の保健所を設置する市長)は、その適正な実施を確保するために必要があると認めるときは、当該対象建設工事受注者に対して特定建設資材廃棄物の再資源化の実施に関し必要な助言又は勧告を行うことができる(法第19条)ほか、対象建設工事受注者が正当な理由がなく特定建設資材廃棄物の再資源化等の適正な実施に必要な行為をしない場合には、再資源化等の方法の変更その他必要な措置をとるべきことを命ずることができる。(法第20条)

2.対象建設工事の届出に関する事項

届出内容として本法に規定されている事項は、工事着手の時期及び工程の概要、分別解体等の計画のほか、解体工事の場合は解体する建築物等の構造及び解体する建築物等に用いられた建築資材の量の見込み、新築工事等の場合は使用する特定建設資材の種類等となっている。なお、届出内容の詳細については第2章に述べる。

3.対象建設工事の請負契約に係る書面の記載事項

建設工事の請負契約の当事者は、建設業法第19条により、契約の内容となる一定の重要事項を書面に記載し相互に交付しなければならないこととされているが、対象建設工事の契約にあたっては、分別解体等及び再資源化等についての認識を共有するため、建設業法で定める以外の下記の項目について書面に記載し、相互に交付しなければならない。

  • 分別解体等の方法
  • 解体工事に要する費用
  • 再資源化をするための施設の名称及び所在地
  • 再資源化等に要する費用

4.発注者への報告事項

対象建設工事の元請業者は、当該工事に係る特定建設資材廃棄物の再資源化が完了したときは当該工事の発注者に対して、以下の項目について書面で報告することとしている。

  • 再資源化等が完了した年月日
  • 再資源化等をした施設の名称及び所在地
  • 再資源化等に要した費用

(3)解体工事業者の登録制度の創設

解体工事業者の登録制度及び解体工事現場への技術管理者の配置、標識の掲示等により、適正な解体工事の実施を確保

1.解体工事業者の登録

解体工事業を営もうとする者は、請け負おうとする解体工事の規模や額にかかわらず、工事をしようとする区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない。(但し、500万円以上の建設工事(建築一式工事にあっては1,500万円以上又は延べ面積150平方メートル以上の木造住宅工事を請け負おうとする場合は建設業許可が必要となる。)
なお、解体工事部分を自ら施工せずに他の者に請け負わせる場合であっても、登録は必要となる。(但し、土木工事業、建築工事業、とび・土工事業に係る建設業の許可を受けた者は改めて登録する必要はない。)
登録にあたっては、工事現場における解体工事の施工の技術上の管理をつかさどる技術管理者を選任しなければならないほか、解体工事を施工するときは、技術管理者にその工事の施工に従事する者の監督をさせなければならない。さらに、営業所及び解体工事の現場ごとに標識を掲げなければならないほか、営業所ごとに帳簿を備え保存しなければならない。
なお、土木工事業、建築工事業、とび・土工工事業に係る建設業の許可を受けた者は、建設業法第26条に基づき、工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどる主任技術者(又は監理技術者)の設置や建設業法第40条に規定する標識の掲示が義務付けられている。

(4)その他

1.罰則

分別解体等及び再資源化等に対する命令違反や、届出、登録等の手続きの不備等に関する罰則が規定されている。

2.施行

法は平成12年5月31日に公布され、施行は、基本方針等に関する部分は平成12年11月30日、解体工事業登録に関する部分は平成13年5月30日、分別解体等及び再資源化等の義務化等に関する部分は平成14年5月30日となっている。

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