宮崎県季刊誌「Jaja」じゃじゃ

Jajaバックナンバー

http://www.pref.miyazaki.lg.jp/

霧島裂罅(れっか)水のすっきりとした
味わいが生きる焼酎と地ビール
「霧島ファクトリーガーデン」

鵜戸神宮
広い吹き抜けの空間に、オーストリア製の醸造釜が並ぶ。

もともとは泡盛の醸造でよく使われる黒麹で仕込んだ芋焼酎「黒霧島」で、全国に知られる霧島酒造は、大正5年に創業。創業者である江夏吉助氏が初めて造った焼酎も、黒麹によるものだった。「黒霧島」は、創業以来伝わる伝統の技に現代の技術を加えて、創業以来蘇ったルーツの味ということができるのだが、これが近年の黒麹焼酎ブームの火付け役ともなっている。

創業記念館 吉助
左)大正時代の社屋を再現した創業記念館 吉助
右)レストランでは地元産素材を生かしたメニューを楽しめる

都城市志比田町にある霧島ファクトリーガーデンは、こうした焼酎造りの歴史が感じられる「霧島創業記念館 吉助」や、地ビールの醸造施設やレストランがある「霧の蔵ブルワリー」、焼酎の樫樽貯蔵施設と多目的ホールが一体となった「霧の蔵ホール」などの施設がある。工場見学や試飲、食事などさまざまなアプローチで楽しめるため、連日、多くの観光客が訪れている。

レストラン・モロミパン・黒霧島
左上)レストラン内部 右上)話題の焼酎モロミパン
左下)黒麹ブームのさきがけとなった「黒霧島」 右下)樫樽に詰めて熟成を待つ焼酎

焼酎やビールの仕込みや割り水として重要な水は、霧島山地に降った雨が火山灰土壌を通って、地下150メートルに蓄えられた霧島裂罅水。適度なミネラル分をもち、すっきりとした喉ごしをもつこの水は、施設内でも味わうことができる。最近、話題を呼んでいるのが、焼酎もろみ(焼酎粕)を使った「焼酎モロミパン」。もちもちとした食感があり、風味に富むとあって、お土産に求める人が多いとか。

霧島ファクトリーガーデン

◎霧島ファクトリーガーデン
都城市志比田町5480番地
TEL0986-21-8111

地元産の芋と水にこだわる焼酎づくり。
最新の展示施設も人気を集める。「西の都酒造」

西の都アグリ館
西の都アグリ館2階では、製造過程や焼酎にまつわる神話などを展示。

平成20年2月にオープンしたばかりの西の都酒造は、九州山地の山々や西都原古墳群を見渡す高台にある。併設されている「西の都アグリ館」は西都に伝わる神話をテーマにしたシアターや、焼酎づくりの過程を視覚化した展示、地元産の素材を生かしたレストランなどの設備を備えた最新の焼酎テーマパークだ。前身である岩乃鶴酒造の、明治時代から続く歴史を背景に、地元の水と芋にこだわった焼酎づくりを行っている。

試飲コーナー・本格芋焼酎西の都
右)焼酎バーのような雰囲気の試飲コーナー。好みのブレンドも楽しめる
左)本格芋焼酎西の都(にしのみやこ) 20度900ml 黒麹芋焼酎

「原料の芋はすべて地元の契約農家の方に作っていただいている黄金千貫。仕込み水は西都清水(きよみず)と呼ばれる伏流水で、非常に鉄分が少なく、焼酎づくりに最適といわれています」(企画担当:黒木百恵さん)。銘柄は西の都・白麹と同黒麹の二種類。フルーティで軽い口当たりの白麹は女性にも人気が高く、黒麹は、じっくりと味わえる深みがあるという。


レストランの人気メニュー、豚軟骨の焼酎煮。
豚肉は焼酎粕を与えて育てたものを使うこだわりぶり。ほかにチキン南蛮なども。

「西の都アグリ館」の充実した展示施設やレストランを生かして、西都原古墳群などとタイアップする観光にも力を入れる。「地元・西都の方々に支えられている蔵。焼酎づくりだけでなく、観光面でも貢献しながら西都とともに成長していけるようになるのが目標です」平均年齢が約35歳という若い蔵から、新しい波が発信されていきそうだ。

西の都アグリ館

◎西の都酒造株式会社
西都市鹿野田11365番地1
TEL0983_41_1234
(写真は西の都アグリ館)