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珍しさを超えた独自のおいしさ大淀川の支流・浦之名川を遡(さかのぼ)った、宮崎市高岡町と綾町の境に近い里山の麓に、松元則雄さんは住んでいる。二十歳頃から林業に従事してきた松元さんは、山の仕事師たちが皆そうであったように、森の動物や植物に詳しい。今では松元さんの代名詞のようになったまむし捕りも、山仕事のかたわらで覚えたものだ。 「山で先輩たちがまむしを見つけては捕って食べていました。元気が出るというのでね。当時はドリンク剤などもない時代でしたので、自分もやってみるかと、おそるおそる始めたのです」 写真左)「まむしはこんな風に持つんです」と、松元さん。手にしたまむしは焼酎漬けのもの。 松元さんが説明するまむしの捕り方はシンプルだ。「左手に持った棒でまむしを押さえ、右手で頭をつかんで捕る」というだけ。捕ったまむしは焼酎漬けや、身を乾燥させた干物にして利用する。 「焼酎漬けにするなら、傷ひとつつけてもいけません。元気なままのやつを水を入れた一升瓶で2か月ほど飼い、水を入れ替えながら泥をはかせて、新しい瓶に移して焼酎を入れるわけです。まむしは水だけで1年くらいは生きていますよ」 さまざまな材料を漬け込んだ薬酒。ヤマナシは二日酔いに、ビワの木皮は神経痛に、ムカデは虫刺されによいという。ドクダミほか7種で作る特製のかゆみ止めは卓効があるとか。 飲み頃になるまで最低2年。20年でも30年でも年数が経つほど味もよいという。
「魔除けになるから」と、南天の枝を切って持たせていただいた。切り口からは、山中を思わせる懐かしい匂いがしていた。
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