掲載開始日:2024年3月15日更新日:2024年3月15日
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皆さん、こんにちは。工務管理課大規模改良担当の植竹です。
平成27年度から実施してきた渡川発電所大規模改良事業が令和5年度に完了しましたので、今回は発電所の更新の内容を中心に話をしていきたいと思います。
渡川発電所は昭和30年の運転開始から60年以上が経過しており、設備の老朽化が確認されたため水車発電機などの更新を行いました。この事業完了後は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)を活用して収益を図ることとしていたため、令和5年11月1日からリニューアルした発電所として運転を開始しています。
全体のスケジュールは以下のとおりですが、2台ある水車発電機については1号機が令和元年から令和3年、2号機が令和3年から令和5年と交互に更新を行いました。
写真1は1号発電機の撤去状況で、写真の真ん中で吊られているものがローター(回転子)という発電機の磁極部分で総重量が約22トンあり、今回の工事の最重量物でありました。
写真1(1号発電機撤去状況)
写真2が1、2号発電機完成後で、発電機の大きさは更新前とそれほど変わっていませんが、冷却方式が水冷・風冷から更新後はすべて風冷となったため、配管等がかなり省略されてすっきりとしました。
今回の更新で回転する水車発電機の重量を支えたり、横振れを防止する軸受と呼ばれるものを金属製から樹脂製に変更したことにより、更新前は冷却のために使用していた冷却水装置をすべて省略することができました。
写真2(2号発電機完成後奥が1号、手前が2号)
写真3は水車室更新前で、右奥に見えるタンクなどの圧油装置で作られた油圧により各機器を操作していたため、油汚れや配管等により機器が入り込んでいましたが、写真4の更新後では各機器を電動化したため、圧油装置が不要となり見た目もすっきりし、今後のメンテナンスにおいても油汚れがかなり減ります。また、写真4の中央手前に見えるのが水車への水量を調整するハイブリッドサーボと呼ばれる小型油圧の調速機で、宮崎県企業局では初の採用となります。
写真3(水車室更新前)
写真4(水車室更新後)
写真5は中央のカタツムリの殻のようなものが水車のケーシングと呼ばれる部分で、コンクリートを打設する前の状況です。現在はコンクリートの中に埋まっているので見えませんが、水車発電機の改良工事でこの部分まで更新する事はあまり無いため、撤去から据付までを見る事ができてとても貴重な経験となりました。
写真5(水車(ケーシング)据付状況)
写真6はランナーと呼ばれる水車の回転する羽の部分になります。今回は水路(ケーシング、ドラフト)も含めて更新を行なったので、CFD解析と呼ばれるコンピュータによる水の流れ解析技術を使った水車の形状とすることにより、水車効率の上昇や水力損失の低減を図ることができました。これにより年間発生電力量が更新前より約1.7%上昇する見込みで、一般家庭の約220世帯分の年間使用量に相当します。また、発電所の最大出力も更新前の12,000kWから12,344kWに増加しました。
写真6(ランナー吊り込み状況)
写真7、8が配電盤の更新前後の写真になります。盤の数や形状はほぼ変わっていませんが、更新後は計器、故障表示器、操作スイッチなどをタッチパネル内で表示させることにより、計器類を省略出来るため見た目もすっきりしました。
写真7(配電盤更新前)
写真8(配電盤更新後)
写真9は更新前の屋外変電設備の写真で、変電所のフェンス内全体に鉄構や機器類が入り込んでいます。
写真9(屋外変電設備更新前)
写真10は更新後の屋外変電設備で写真中央の奥に見えるものがC-GIS(キュービクル型ガス絶縁開閉装置)と呼ばれ、こちらも宮崎県企業局では初めての採用となります。絶縁媒体に乾燥空気を使っているため、環境にも優しく見た目もすっきりとし、メンテナンスも簡易になります。
写真10(屋外変電設備更新後)
写真11は更新後の発電所全景をドローンで撮影したものです。ちなみにこの写真も私が自分でドローンを操縦して撮影しました。大規模改良事業のなかで建築工事による発電所建屋の外壁塗装も実施しているため、完成後は全体的にきれいな仕上がりとなっています。
写真11(発電所全景)
写真12は、令和6年1月29日に渡川発電所リニューアル式典を実施し、式典後に渡川大規模改良事業関係の担当者(私は右から2番目です。)で記念撮影したものです。式典は快晴のなか、多くの出席者のもとでテープカット、天井クレーンで吊したくす玉割りにより祝いました。
写真12(渡川発電所リニューアル式典)
完成に至るまでに当初の計画から発注、施工と多くの関係者及び施工者のみなさまの御尽力により無事に完成することが出来ました。今後も渡川発電所が子や孫の世代までいつまでも元気に運転を続けてくれることを心から願っています。
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