掲載開始日:2024年10月18日更新日:2024年10月18日
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皆さん、こんにちは。
工務管理課改良・開発企画担当です。
今回は、改良・開発企画担当の業務の中で、再生可能エネルギー普及促進の取組として市町村を対象に実施している「小水力発電導入支援」のうち流量測定について紹介したいと思います。
小水力発電の導入には、計画、調査、設計、工事、維持管理と建設に至るまで様々な検討や諸手続が必要です。それらの手続きは、専門的な知識や経験が十分でない場合は、かなりハードルが高いものとなります。
そこで、宮崎県企業局では、これまで培った水力発電所の開発や運用のノウハウを活かし、県内の市町村等を対象に小水力発電導入の支援をしています。
1.技術的支援
計画、設計、工事、維持管理や関係法令など諸手続に係る技術的助言や情報提供を行います。
2.可能性調査の支援
無償(ココ大事!)にて、企業局職員で流量測定、概算工事費の算出、経済性評価などを行います。
今回は、この中の「可能性調査の支援」のうち流量測定について紹介します。
水力発電は、水が高いところから低いところに流れ落ちる性質を利用し、流れ落ちるエネルギーを用いて電気をつくるものです。
水がないと始まりません!
図:水力発電の仕組み
水力発電では、「流量」と「有効落差」(総落差から水圧管路等での損失落差を引いたもの)が重要になります。
そのため、水力発電開発地点の年間流量を把握する必要があります。
発電出力(kW)=9.8×流量Q(立方メートル/s)×有効落差He(m)×総合効率
年間発電電力量(kWh)=発電出力(kW)×24(h)×365(日)×設備利用率
開発地点の年間流量データがあればよいのですが、開発地点の流量データがないことが多いため、最も開発地点に近い観測所(ダムなど)の流量データから、河川の流域比で比較して計算しています。
そのため、計算した流量が現地の流量に近い値であるか確認する必要があるため、職員で現地の流量測定を行なっています。
しかし、流量は直接測定することができないことから流速から求めます。
そこで写真のような流速計を使用します。この流速計センサー部を水中に沈めることで流速を計測することができます。
次に、流量測定状況です。まずは調査地点周辺を調査し、測定地点を決定します。測定箇所が決まったらまずは、河川幅を測定します。
次に、河川幅1メートル単位で水深と流速を測定していきます。測定した河川幅と水深により測定箇所の河川の断面積を求め、断面積と流速より流量を計算しています。
流量測定は、最低流量を把握するため年間で最も流量が少ない冬に行うことが多いです。
見てのとおり、河川に入っての作業なので、冬は濡れた手が冷たいです。
また、河川近くにはヤマビルが多く、いつのまにか背中についていることも。
図:河川断面図イメージ
流量測定後は、計算した流量や有効落差から開発に係る工事費を計算し、ランニングコストなども考慮して採算性を判断し市町村に報告書として提出します。
これまで企業局では、70件の可能性調査を実施し市町村に報告しています。そのうち開発が実現したものもあります。今年9月には、宮崎県企業局が可能性調査を実施した高千穂町の畑中小水力発電所が竣工となり、運転を開始しています。
今後も宮崎県企業局では県内の再生可能エネルギーの促進のため市町村への導入支援を続けていきます!