宮崎県季刊誌「Jaja」じゃじゃ
お菓子

お茶の時間は、ゆとりの時間。

道の駅に並んでいるお菓子の中で、特にその土地ならではの伝統菓子は、立派な箱に入れて熨斗をつけて贈答に差し上げる、というよりも、お茶の間や縁側で家族や友達と気軽に楽しめそうなものが多い。だが、一つひとつを見ていくと、気軽さの向こう側に古い歴史に裏打ちされた、風格を感じさせてくれるものがある。

中でもさすがと思わせるのは、お茶どころ都城盆地を控えた「道の駅・都城」だ。ここには旧薩摩藩時代から続く、いかにも歴史のありそうなお菓子がずらりと並ぶ。お茶を楽しみ、お菓子を楽しむということは、語らいを楽しむことにつながる。おそらくそれは、一対一の濃密なコミュニケーションが成立しやすい焼酎文化圏の基調にもなっていそうだ。日々の暮らしの中でゆとりの時間を演出してきた伝統菓子を、じっくりと味わいたい。

都城の伝統菓子のアラカルト
お茶屋の団子
都城茶商工業協同組合が作っている抹茶味の串団子。鮮やかなお茶の香り。
お茶屋の団子
ねったぼ ねったぼ
からいも(甘藷)の風味がうれしいねったぼは、少し前まで家庭でもよく作っていたおやつ。
かるかん
山芋とうるち米の粉で作る蒸し菓子。一説によると薩摩藩主・島津斉彬が安政年間に、江戸から連れてきた菓子職人に作らせたのが始まりとか。
かるかん
高麗菓子(これがし) 高麗菓子(これがし)
都城盆地一帯に伝承されてきた高麗菓子。豊臣秀吉の時代に、朝鮮半島から渡ってきた陶工たちが作っていたのが始まりとされる。
かからん団子
よもぎの新芽と餅米で団子を作り、それを「かから」と呼ばれる木の葉でくるんだもの。南九州版の柏餅といえる伝統菓子。
かからん団子
ゆべし ゆべし
主な原料は、ゆずと味噌。ゴマと唐辛子が風味を添える。お茶うけにも酒の肴にもあう。
いこ餅
米粉を煎って作ることから、煎り粉餅が転じていこ餅になったとか。香ばしさと独特の食感が身上。
いこ餅

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草団子

「道の駅・酒谷」の人気ナンバーワン、よもぎ団子はこうして手作りされている。よもぎは、柔らかい新芽だけを使用。毎年春には、人が入らない山深いところまで、よもぎを摘みに行く。
草団子

よもぎ団子

よもぎ団子
おいしいよもぎ団子は各地にあるが、作り手の多さでは日之影町がトップクラスか。近くの山でとれたよもぎを贅沢に使い、まさに香り立つようなおいしさ。

ゆきめし

高岡の伝統菓子、ゆきめしは、藁葺き屋根に雪が積もるさまを表現しているとか。
ゆきめし