宮崎県グラフ誌「Jaja」じゃじゃ

 

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和牛の達人に訊く

5年に1度開催され、「和牛のオリンピック」といわれる「第9回全国和牛能力共進会」(平成19年・鳥取県)で、9部門中7部門で首席の成績を獲得。名実ともに「日本一」となった宮崎牛。その品質を支える繁殖・肥育の秘訣を、「和牛の達人」のお二人にうかがった。



子供の頃から牛が好き。
綿密なデータを繁殖に生かす。

和牛繁殖農家 黒木松吾さん(串間市)

黒木松吾さんご夫妻(串間市)

串間市福島地区で28頭の雌牛を飼う繁殖農家、黒木松吾さん。祖父の代から三代続く葉たばこ農家で、畜産を始めたのは松吾さんの代になってから。15歳で自分の牛を持ち、高鍋町にある県立農業大学校を卒業後、本格的に葉たばこと畜産の複合経営を始めた。
「小さい頃から牛が好き。小学生の頃には、学校帰りに牛のいる家に寄り道をするような子供でした」

繁殖農家は母牛に子牛を産ませるのが仕事。28頭の牛は年に一度ずつお産をするので、平均二週間に一度はお産に立ち会うことになる。
「いい子牛は、生まれた瞬間にわかります。背が高く、肩が張って、後脚のヒジがしっかりしているのがいい。何より、いい牛はいい顔をしているものです。これは経験がないとわからないかもしれませんが(笑)」
近江牛や松阪牛の産地に出荷されるなど、宮崎の子牛は全国的に高い評価を受けているが、その理由はしっかりした系統管理にあるという。

忠富士、福乃国、秀菊安といった名だたる種牛と相性のいい雌牛群を探すのも大事な仕事で、黒木さんも育てた牛のデータを細かく記録して、より良い子牛生産をめざしている。
「一朝一夕に成果があがるものではありませんので、3年、5年という先を見ながらデータをとり、毎日の世話をする。その積み重ねですね。大変さもありますが、思いがけない喜びもたくさんある仕事ですよ」

黒木さんが育てる牛
二週間に一度はお産に立ち会う。「大潮の日の満潮から引き始めに生まれることが多いですね。不思議なものです」(黒木さん)

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