宮崎県グラフ誌「Jaja」じゃじゃ

 

Jajaバックナンバー

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自然豊かな環境で育つ
ブランド豚北浦Oh茶メ(おちゃめ)豚

北浦Oh茶メ豚生産農家 松下秀信さん(延岡市北浦町)

北浦Oh茶メ豚のしゃぶしゃぶ

飼料に緑茶を混ぜる独自の工夫

アクが少なく、脂身が甘く、香りが高く、くさみがない。そんな上質さで評判を呼んでいる「北浦Oh茶メ(おちゃめ)豚」の畜舎は、延岡市北浦町の山中にある。大分県との県境に近い山あいの、北川支流の美しい水が流れる一帯は、時の流れが止まったようにひっそりとしていた。

ここに1000頭の豚が飼われているとは信じられいほどの静けさ。そして豚舎特有の匂いもほとんど感じられず、あたりにはかすかに森の香りがする。

「匂いがしないでしょう」と胸を張るのは、生産農家の松下秀信さん。実家はお茶農家だが、自分の代から養豚を始め、飼料に緑茶を加える独自の工夫で「北浦Oh茶メ豚」という新しいブランド豚を確立した。生後80日から90日の子豚を買い、約120日かけて育てるのだが、最後の60日間は飼料に緑茶や乳酸菌を加えて仕上げる。お茶に含まれるカテキンの作用で、肉のうまみが向上するとともに、冷蔵保存中の酸化を抑えることができるようになった。また、ビタミンEやうまみの成分であるイノシン酸も通常の飼育より多くなる。

「両親がお茶園を経営していますので、その二番茶を与えています。お茶に酵素を混ぜて発酵させるのが工夫なのですが、飼料に対する割合や与える期間など数年試行錯誤して、ようやく納得のいくものができるようになりました」

北浦Oh茶メ豚を育てる松下秀信さん
飼料や飼い方、環境の向上などに独自の工夫で取り組んできた松下さん。その努力が、Oh茶メ豚の肉質に反映されている。

手作りの発酵オガクズ

豚がストレスなく快適に育つようにと、豚舎の衛生管理にも力を注ぐ。床に敷くオガクズは土着菌を混ぜて発酵させたものを使うことで、悪臭の発生がなく、豚の健康にも良い。ストレスが少ないためか、鳴き声を立てる豚もほとんどいない。豚舎がひっそりとしているのは、このオガクズに秘密があったようだ。

「土着菌は落ちてたまっている笹の葉に含まれています。これに米ぬか、糖蜜などを混ぜて発酵させたものを、オガクズに混ぜてさらに発酵させます。床には50cmの厚さで敷きますので大量に必要ですが、豚も気持ちが良いようで、ゆったりと過ごしていますね」
こうして育てられた北浦Oh茶メ豚は、各地から引き合いも多いが年間2500頭ほどしか生産できないため、主に地元で消費されている。

一番のおすすめは、やはりしゃぶしゃぶ。赤身のうまさもさることながら、上質の豚肉特有の脂身の香りと甘みを味わってみてほしい。

お茶を混ぜた特製餌 畜舎風景
松下さんが工夫した、緑茶の入った特製飼料。お茶は両親が営む茶園のものを使っている。 抜群の環境の中で育つ豚たち。ストレスがないためか鳴き声が聞こえることもなく、豚舎はひっそりと静かだ。

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