宮崎県グラフ誌「Jaja」じゃじゃ

 

Jajaバックナンバー

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「地鶏前夜」から続いた奮闘の日々。
夢は、みやざき地頭鶏(じとっこ)を日本一に。

有限会社ぐんけい 黒木賢二さん

みやざき地頭鶏を焼く黒木賢二さん

地鶏のうまさを広めるために

宮崎の味覚の代表格になった「みやざき地頭鶏」の専門店を、県内外に4店舗展開する黒木賢二さん((有)ぐんけい代表取締役)が、宮崎市花ヶ島に一号店を開いたのは、平成2年のこと。

もともと鉄工所の工場長として腕をふるっていたが、バイク事故で大けがを負い「安全第一と訓示していたのに示しがつかない」と職を辞して、52歳での転身だった。「その頃、宮崎県が宮崎産の地鶏を育てようとしていたこともあり、うまい地鶏を売りたいという思いは創業時からありました」

しかし、各地から取り寄せる『地鶏』は品質にばらつきがあり、供給も安定しない状態。何より、噛みごたえのあるブロイラーの廃鶏になじんだお客に、庭飼いされた若い地鶏の味はなかなか受け入れられなかったという。

「卵を産めなくなった廃鶏を食べるのは日本の食文化ですし、それ自体おいしいものですので仕方ない側面もあったのですが、開店してから数年は廃鶏を売って営業を成立させながら、地鶏を広めている感じでしたね。地鶏の売り上げが廃鶏に並ぶまで、5年ほどかかりました」

今でこそ全国に知られるようになった「みやざき地頭鶏」だが、当時は国の規格が定められておらず、地元産の鶏は地鶏という風潮があった。黒木さんの孤軍奮闘は続いた。
「ある時、県の畜産試験場川南支場から、今のみやざき地頭鶏の原型になった鶏のひよこをもらって育ててみたら、これがうまかった。これはいけると確信しました」

みやざき地頭鶏の炭火焼き
この炭火焼きが、「宮崎の地鶏焼き」の歴史を切りひらいてきた。手作りの柚子こしょうを添えて供される。

みやざき地頭鶏を日本一に

黒木さんには、「みやざき地頭鶏を、質量ともに日本一にしたい」という夢がある。平成21年には宮崎市高岡町に農園を開設して、現在、5400羽を飼育。養鶏の理想をこめて設計した日当たりの良い農園にある鶏舎には、鶏がのびのびと遊べる工夫が施されている。

また、全国の焼き鳥職人が腕を競う『第4回やきとりンピック』で同時開催された焼き鳥職人コンテスト(平成22年・愛媛県今治市)に自ら参加して、最高位の金三つ星を受賞した。「以前は料理評論家の間でも、強い炭火で真っ黒に仕上げる宮崎の地鶏焼きは賛否両論でしたが、最近ではこれが宮崎の文化だと受け入れられるようになっています。少しずつ前進して、みやざき地頭鶏を名実ともに日本一のものにしていきたいですね」

ぐんけい農園
写真左・中)理想の養鶏を実現しようと宮崎市高岡町に開設した「ぐんけい農園」。写真右)本物の地鶏の味をさらに広めたい、と語る黒木さん。「日本一」に向けて挑戦は続く。

みやざき地頭鶏とは

古来から霧島山麓一帯で飼われていた天然記念物「地頭鶏」を原種として、宮崎県畜産試験場川南支場で開発された品種を、定められた方法で飼育したものだけが、宮崎ブランド「みやざき地頭鶏」として認証されます。肉質は柔らかくジューシーで、噛むほどに味わいが広がる地鶏の逸品です。

商品ブランド認証基準
(1)「みやざき地頭鶏」の地鶏肉であること
(2)「みやざき地頭鶏」生産指定農場で生産されたこと
(3)育すうを含めて全期間平飼い飼育
(4)飼育期間はおおむね雄4ヶ月、雌5ヶ月
(5)飼育密度は1平方メートル当たり2羽以下

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