宮崎県グラフ誌「Jaja」じゃじゃ

 

Jajaバックナンバー

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宮崎牛の草創期から22年。
鉄板焼きステーキの名店が語る魅力。

大阪府堺市を中心に鉄板焼きレストランなど6店舗を展開する南海グリルは、昭和27年創業の老舗。昭和46年に開業した中店(堺市)は、鉄板焼きステーキというジャンルが日本中に知られるきっかけのひとつにもなった名店だ。

南海グリルの店内

宮崎牛とともに

昭和63年には全国でもいち早く宮崎牛に注目して、以来、宮崎牛一筋。まだ「宮崎牛」というブランドが浸透していなかった時代から、ステーキの命ともいえる素材として宮崎牛を用いてきていただいた背景を、佐野結香社長にうかがった。
「お客様の目の前でお焼きして、召し上がっていただく鉄板焼きは嘘がない料理です。お客様の反応もその場でいただきますし、ごまかしようがありません。ですから、精一杯の誠実さが求められます。宮崎牛は、そんな厳しさに応えてくれる素材として、誇りをもってお出ししています」

以前は全農から肉を仕入れていたが、その大阪支店長が宮崎出身の方だった縁で、創業者で現会長の西浦博章氏が当時の松形祐堯知事に会い、「なんとか宮崎牛というブランドを確立したい」という思いを受けて取り引きが始まった。
「松形知事はほんとうに熱意のある方でした。それから宮崎の方々とのおつきあいが始まったのですが、今でも県庁の方、経済連の方、ミヤチクの方、生産者の方と、それぞれ同士が仲が良く、一丸となって宮崎牛を盛り上げようという気持ちが伝わってきます。その輪の中にいられることは、私の幸せですね」

南海グリル
写真左)鮮やかな手つきでステーキを焼く。「お客様が食べたいと思うタイミングに合わせられるかが大切」という。写真中)ステーキ用の肉は、桧の棚のチルド室で20日間熟成させ、おいしさを最大限に引き出す。写真右)笑顔で迎えていただいた中店のスタッフの皆さん。

「無駄にしたらあかん」の精神で

佐野結香社長
宮崎牛の魅力を語る南海グリル社長・佐野結香さん。

南海グリルでは、ミヤチク高崎工場および都農工場で専用にカットされた牛肉を一頭買いで仕入れ、ステーキ、しゃぶしゃぶ、ハンバーグ、コロッケなどに使う。コロッケを揚げる油まで、宮崎牛のヘットを使う徹底ぶりだ。
「せっかくの牛を無駄にしたらあかん、と。ステーキの肉汁もパンにつけて食べていただいています」

平成22年の口蹄疫禍の際にも宮崎牛を使い続け、むしろお客から励まされたという。
「ニュースで日本の畜産にとって宮崎牛がどれほど大きな存在かが知れ渡って、お客様から『えらい牛やってんな。がんばりや』と声をかけていただきました。父(西浦氏)も『ノボリを倍たてろ』と意気軒昂で(笑)。あれだけ大変なことが起こりながら、なお頑張り続けていく宮崎の方々のひたむきさにも胸をうたれました」

「大阪人にとって、ステーキは最高の『ごっつぉ』です。それをみんなで鉄板を囲んで食べる鉄板焼きは、大阪の気質にも合っています。南海グリルで食べることがステータスといっていただくこともありますが、私共はそのお客様の思い以上のものを提供しなくてはいけません。宮崎牛は、それにふさわしい素材ですし、せっかくの素材をさらにおいしく食べていただけるように、生産者の方々の顔、お客様の顔を思い浮かべながら、がんばっていきたいと思います」

南海グリル中店とミートショップ
写真左)南海グリル中店の外観。飛騨高山の合掌造りの民家から移築したもので、その後、鉄板焼きレストランのイメージとして全国的に定着した。写真右)宮崎牛の販売を行っている堺駅店のミートショップ。

宮崎のお肉を楽しむ