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特集「宮崎の匠たち」

 

春号特集
本物志向の高まりやスローライフへの注目もあって、伝統工芸品のもつ手作りのあたたかみや質感の高さが見直されている。宮崎県には、現在、33品目の伝統的工芸品が指定されているが、その一つひとつが、それぞれの土地柄や風土、人の暮らしの中で生まれてきたものだ。

たとえば、良質の竹を産し、山の暮らしの文化をもつ東・西臼杵郡には竹細工やめんぱ、かるいが受け継がれ、島津氏発祥の地で尚武の気風が残る都城市は、木刀や大弓の全国的な産地となった。全国で唯一、日向市で作られるはまぐり碁石は、明治時代にお倉ヶ浜で良質のはまぐりが発見されたことに始まり、照葉樹林に育つ榧の木で作られる碁盤は、最高級品としてファン垂涎の的となっている。

工業製品が、市場調査や設計といった過程を経て、大量、効率的に作られるものであるとすれば、伝統工芸の品々は、長い時間をかけて人の手で練られ、形づくられてきた、いわば「スローな品々」だ。その本物だけがもつ豊かさは、私たちが愛し、使うことによって次代に受け継がれていく。宮崎で活躍する伝統工芸の匠たちと、その仕事ぶりをご紹介しよう。

人形

    

今月の表紙

「うすべにに 葉はいちはやく 萌えいでて 咲かむとすなり 山櫻花」(牧水)
冬の間はひっそりとしていた照葉樹の森に、まるで光が射したように咲くのは、宮崎の県の木にもなっているヤマザクラ。宮崎の春を代表する美しい光景です。重なり合うように咲き誇る桜の春が終わると、森は新緑の季節を迎えます。 (撮影:黒木一明)



編集後記

今回取材に伺った匠の方々からよく聞いたのが、「誰にも教わったことはない」という述懐。それぞれに先代がいるわけだが、匠たちは仕事を先代から盗み、試行錯誤を繰り返しながら現在に至ったそうだ。先代に作品を誉められることもついぞなく、いまでも自分の作品に「納得することはない」のだとか。

それが伝統を受け継ぐ職人としての自信と誇りにつながり、熟練の技を生むのだろうが、そんな厳しい匠たちの面持ちと対照的だったのが、匠の手。材料を扱う年季の入った匠の手からは、徐々に形をなしていく工芸品への愛おしさがこぼれんばかり。そのことは、完成した作品たちが誰よりも雄弁に物語っていた。

STAFF
Producer:宗像真也
Director:山出潤一郎
Writer:石井亮作
Designer:田中道博・江川俊幸
Photographer:芥川仁・黒木一明・深江博子・深澤猛志

 


取材に協力していただいた方々
みやざき観光コンベンション協会、都城市、日向市、小林市、高原町、北川町、フェニックス・シーガイア・リゾート、横峯さくらさん、工藤正任さん、小松原焼窯元、横山黎明弓製作所、荒牧武道具木工所、熊須碁盤店、美々津手漉き和紙製造所、大城染織工房、和DINING楽ぜん(順不同)

 

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