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島津氏発祥の地、都城は尚武の気風を残す土地柄らしく、古くから武道具づくりが盛んだ。特に大弓(竹弓)は素材となる竹やハゼに恵まれたこともあり、全国の9割近くを生産する。 この伝統を受け継ぐ弓師の一人、父・横山黎明氏のもとで、修行に励んできた横山博志さん。幼い頃から弓師になることを志し、「弓は手作りが基本だが、いい弓を作る上でプラスになるのでは」と大学では機械工学を専攻。国の伝統工芸士になり、技能を確立した今でも、父親には積極的にアドバイスを請う。 大弓は旧来の素材や技法を今に伝える「工芸品」の側面を持ちながら、実際の競技会で的を射る「道具」としての側面も持つ。グラスファイバーなど特殊素材の弓が台頭する今日でも、竹とハゼの木を素材にした都城大弓は、矢を放った後の衝撃吸収性や弦音の美しさに優れ、弓道家から高い評価を受けている。こうした昔ながらの大弓の良さを大事にしたいと、横山さんは言う。 「たとえば弓づくりの工程で、張り合わせる板を縄で結うのは、竹には所々に節があって、機械では一律にプレスできないから。弓づくりの技術は、長い歴史の中で最も適した方法だけが残っています。そうした伝統を確実に受け継ぎながら、もしこの先、使い手が望む弓の形が変わったとしても、伝統的なものを守りつつ、時代が求める新しいもの、両方を作っていきたいと思います」 原料である竹を確保するため、自ら竹山に出向き、草払いなどの手入れもする。自分たちが率先して伝統を守っていかなくてはと横山さん。その一途さと、新しい時代に対応する柔軟さが、強く、しなやかな弓のように、新しい時代を開いていくことだろう。
父で師でもある黎明氏と弓の調子をみる。
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