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囲碁・将棋の愛好者の間で、憧れを込めて語られる「日向本榧」の碁盤と将棋盤。中でも綾町で取れた榧材は最高級との評価を受けている。その綾町で碁盤・将棋盤を作る熊須健一さんは、原木の仕入れから製作・販売までを自らの手で行う全国でも稀な職人だ。 「たしかに綾の榧は日本一でしょう。こんな森が残っているところはなかなかありませんし、岩盤が多いので、榧が育ちにくい。風雪に耐えてゆっくり大きくなるので目が詰まって質がいいわけです」 「槇は万年、榧限りなし」といわれる耐久性や弾力性、美しい木目と艶に加えて、榧は特有の芳香を放つ。しかも良い碁盤を作ろうとすれば、最低300年以上の樹齢の榧が必要で、そんな木はなかなか出ない。碁盤職人は、その貴重な原木を扱う責任があるという。 「300年、500年をかけて育った木をどう使うか。最初の木取りの段階が、実は職人の腕の見せ所です。工程の中で緊張するのは、やはり太刀盛り。日本刀に漆をつけて目を引いていくのですが、ここばかりは失敗が許されませんから、息を凝らすような作業になります。」 盤を選ぶポイントはまず木目と艶だが、「私としては脚を見てほしいですね」と熊須さんはいう。クチナシの実をかたどった脚部を手彫りする職人はもう全国でも珍しく、脚と盤とのバランスのとり方が非常にむずかしいのだという。 「目立ちませんが、非常に技術が必要な部分。脚をしっかり作ってあるものは、それだけ手をかけているということです。そういう盤を選んで、末永く楽しんでいただければと思います」
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