宮崎県グラフ誌「Jaja」じゃじゃ

 

Jajaバックナンバー

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綾 あや

世界に誇る照葉樹の森。 森林文化を全国へ発信。

照葉樹林と照葉大吊橋
照葉樹林と照葉大吊橋/照葉樹は、シイ・カシ類など冬でも落葉しない広葉樹で、光沢があり、深い緑色の葉を持つ。綾町には中核部分約1700haを含め約3500haの照葉樹林が残っている。また照葉大吊橋は長さ250m、高さ142mあり、歩道吊り橋としては世界最大級のスケールを誇る。平成23年10月に架け替えのリニューアルがなされ、床が格子状になり足元が透けて見えるなど、よりスリルを味わえる仕様になった。

水を清らかに、大地を潤し、すべての生態系の基礎となる照葉樹の森。綾町の照葉樹林の中心部・周辺部を合計した面積は約3500haで、国内最大規模の大きさを誇る。

温暖帯では世界の北限に位置し、これほどまとまった樹林は他にないことから、世界的にみても貴重な存在となっている。

このような綾の照葉樹林も昭和40年代初め、国の命令により伐採の危機に瀕したことがあった。照葉樹林の価値に早くから気づいていた、当時の町長・郷田 實氏は町が保護することを主張して伐採を阻止し、危機を乗り越えた。

氏はまた照葉樹林に密着した自然生態系農業を推進するべく、当時はまだ珍しかった有機農法を推奨し、綾の農産物のブランド力を上げることに成功した。

綾町はさらに草木染めや碁盤などの木工製品、陶芸など綾の素材を生かした工芸が盛んでクラフトのまちとしても知られる。観光では、照葉大吊橋をはじめ、綾城、綾馬事公苑、酒泉の杜など自然や景観に調和した施設が人気だ。

根底には、森林が育んだ文化を守り、自然と共生する姿勢が貫かれており、年間100万人が訪れる町の魅力となっている。

綾馬事公苑
綾馬事公苑/初心者でも気軽に乗馬を楽しめる馬事公苑。毎年11月には「綾競馬」が開催される。

酒泉の杜
酒泉の杜/蔵元・ワイナリーが揃うお酒のテーマパーク。施設内にはレストラン、温泉、宿泊施設、陶芸、グラスアートの工房が揃う。中でも地酒を使った酒風呂が人気。

癒しの森林セラピー
森のもつ癒しの効果を心身の健康に役立てようと、特定非営利活動法人森林セラピーソサエティでは、全国44の森を「森林セラピー基地」、「森林セラピーロード」として認定している(平成23年4月現在)。宮崎県では、綾町のほか、日之影町、日南市の三ヶ所が認定され、森をいかしたまちづくりが進められている。

綾町では女の子の初節句の祝いとして、雛壇の周りに樹木や苔を配して山の景色を再現する「雛山」を設ける習慣がある。山の神に感謝しながら、深い照葉樹の森とともに生きてきた綾町らしい祭りといえるだろう。