平成30年度知事とのふれあいフォーラム分野版(第4回)
内容
開催日時等
開催日
平成31年2月1日(金曜日)午後1時30分から午後3時
場所
県庁講堂
テーマ
防災・減災に向けた地域での取組について~洪水・土砂災害から身を守る~
参加者
防災士、各地域の自主防災組織の代表者などの皆さん計10名
知事
ふれあいフォーラムの内容
知事挨拶
- 昨年は規模の大きな地震や西日本豪雨など多くの被害をもたらした災害が数多く発生し、「今年の漢字」に「災」が選ばれたことが非常に象徴的であった。
- 特に昨年の西日本豪雨災害では正常性バイアスもあろうが、あまり避難がなされなかったということである。本県においても8年前の新燃岳噴火の際に、避難をした人はわずかであり、情報をしっかり伝達し、避難してもらうことなど課題が浮き彫りになった。
- 県としても市町村や国などの関係機関との協力や、住民の自助・共助・公助などいろんな観点から防災力のさらなる強化に努めたいと考えている。本日は昨年の西日本豪雨災害も踏まえ、洪水・土砂災害にポイントを絞って御意見をいただきたい。
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フォーラムの様子



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主な意見等
1.過去に起きた災害での課題について
- 台風が接近しても「今回も大丈夫だろう」と地区住民になかなか緊張感を持ってもらえない。
昨年発生した台風24号では、土砂災害や道路陥没、農作物被害、住宅被害など多大な被害がでたが、この時、地区住民が不安を感じ、夜中に区長に次々と連絡をしていた。地区でも緊急連絡網をつくっているが、防災ラジオなどを通して緊急速報のみでなく、居住地の周りの被害状況を分かりやすい言葉を用いて伝達できるといい。
- 平成17年に発生した台風14号災害では、水位が増して、明るくなってきた朝5時過ぎに村民の一斉避難をおこない、けが人を出さなかった。村役場は災害調査や要介護者の対応もあり、動くことが出来なかったので、復興については、消防団と建設業協会に任され、10日で一斉消毒までおこなうことができた。災害を受けることは仕方がないことなので、その後の治安や立ち上がることができる環境をいち早くつくることが大事だと感じている。
- 平成17年に発生した台風14号災害で、地区一帯が30分ほどで水に浸かってしまった。地区には水害時の人柱をたてたとの伝承もあったが、災害を経験して改めて水害の恐ろしさを知った。
- 地元に長く住んでいる方は、正常性バイアスが働き、避難の呼びかけに応じないことが多い。また、声をかける相手によって行動が変わり、なじみのある消防団員ならば避難に応じるが、若い消防団員だと応じない人もいることが課題である。
自分の地区では、自主防災組織の副部長に消防団員になってもらっており、住民の非常時の避難への意識づけに力を入れている。
- BCPの作成支援をするなかで、けがをしないための対策が一番大事だということをいつも話している。けがをしなければ避難できるし、その後の復興もスムーズにいくので、そのためにも普段から避難経路の確認・確保をしておくことも大事である。また、被災した場合、酸素吸入器を使っている方には予備電源が必要になるし、人工透析の患者が通院している病院が被災した場合の代替の病院を確認しておくなどの必要があるので、普段から緊急医療情報や名簿を作成しておくなど、避難行動要支援者のサポートが重要である。また、災害時に行動を起こすためには、普段からの避難訓練が重要である。
- 住民向けに防災講座をするときに、警報がでた時点で、自分の気持ちをエマージェンシーモードに切り替えようと伝えている。
また、インバウンドが進み宮崎でも外国人の方を見かけるが、警報や避難所情報などが外国人の方にうまく伝わっていない。今後、外国人の方にも親切に情報を伝えることが課題である。
- 山間部に住んでいるので、山崩れなどで避難所に向かうまでの道が壊れて進めずに途中でけがをしてしまうことも想像できる。それを防ぐためには近隣の被害状況について地域のみんなで連絡をとり、避難所よりも安全な住宅に集合できるような連絡体制が必要だと話は出るが、公民館の役員などは1年で交代してしまい、連係プレーを定着させることが難しいことが課題である。防災ネットワークをさらに充実させ、防災士をはじめとしたしっかりとした防災組織が定着するといい。また、県には継続性のある避難訓練をお願いしたい。
- 70時間以内に手当てしないと生存率が低くなるとされているが、災害発生直後72時間は公的医療支援は来ないと言われている。また、避難所での生活が長く続き、関連死が増加するのを防ぐため、心のケアを医療ボランティアでやっていきたいと考えている。
今までの災害では、誤った情報が飛び交い、住民を混乱させていることがあるので、そこを解決することが今後の課題。
- 防災に即効薬はなく、地道に啓蒙活動を続けていく必要がある。子育てや共働きなどで自治会に参加できない方に関しても、地域とつながりを持たせることが大事だと感じているので、防災士等が保育所等に出向いて防災活動をできる機会を増やしていけるといい。また、情報発信では、県の河川の状況がリアルタイムで見れる有効なシステムがあるので、使い方を広めてほしい。
- 市の条例で義務づけられた避難行動要支援者名簿に基づいて地域で個別避難計画を作成した。名簿については、古い情報が多く残されているので、今後更新し整理することや、10年後、20年後に継続できるように担い手をどうやって育てていくかが課題である。
- 平成17年に発生した台風14号災害時に、土砂崩れの影響でダムが決壊し、村が全滅するという誤った情報が出回り、混乱が生じた。災害の中であっても情報の管理が大事だと感じた。
2.地域の防災リーダーの役割・地域コミュニティを活かした減災対策について
- 地域で高齢化が進んでいて自治会の役員も年配だけという現状もあるので、ぜひ県職員にも自治会やまちづくり推進会に積極的に参加してほしい。
- こども食堂は、子どもと食を通し、顔が見えることで小さなコミュニティがたくさんでき、災害時に役立つし、集団給食づくりは炊き出し訓練にもなる。防災訓練をすると言ってもなかなか人が集まらないが、こども食堂をやると言うと人が集まるので、防災だけで考えるのではなく、防災と何かを掛け合わせて発信し、普及していけるといい。
- 子どもが率先して防災の意識を持って行動するということを、大人はサポートや指導していくことが大事だと思う。しかし、学校の先生はその地域に住んでいない方が多いので、自分の地域では各学校から必ず先生一人はまちづくり推進員会の教育連携部会に参加してもらうようにしたところ、他の部会委員の方と交流でき、どの方が地域について詳しいのか知ることができた。また、そこで学校と地域で訓練や講話を一緒にやろうと呼びかけることで、学校で取り組む防災マップづくりに地域住民も加わり、地域全体の防災知識が高まった。
- 自主防災台帳を作成しているが、個人情報保護の問題もあり、非常時であっても誰にでも公表することができないことがネックである。
- 今までは防災訓練やボランティア運営訓練などをやっていたが、多くの子どもたちにも参加してほしいと思い、行政や企業などを巻き込んで今回初めて防災フェスティバルを開催する。大人はもちろん子どもにも地域を支える防災に関心を持ってもらいたいし、地域はたくさんの人たちで支え合っているということを実感してほしい。
- 子どもたちが将来地域の中で活躍できるように、防災教育に力をいれてほしい。
- 南海トラフ巨大地震などが発生した場合、自分たち内陸部の住民が行政と一緒になり後方支援にあたることになると思うが、対策をしていくにあたり後方支援活動のあり方について県から教えていただきたい。
- 防災に関するDVDを作成しているので、毎年市民のつどいの際に流し、減災対策をおこなっている。また今後、畳堤にコンパネをはめ、子どもたちをはじめとした地域住民に協力してもらい画を描いてもらうことで、地域コミュニティをつくりあげたいと思っている。
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知事総括
- 国や県、地域としてもいろんな形で防災に関する経験値が高まってきていると思う。その経験値をいかに将来世代に伝えていくかを中心に、県民、住民の意識を高めていくために必要なコミュニティづくりについていろんなヒントをいただいた。
- 今日は洪水・土砂災害を中心に意見をいただいたが、津波や火山もあり、いろんなリスクに対してどのように住民の生活を守っていくのかなどさまざまな課題がある。
- 消防団や防災士の役割、地域の防災リーダーの役割を県や市町村、その他関係機関との連携を深める中で、今後の防災力の強化に努めていきたい。
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