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掲載開始日:2022年11月22日更新日:2023年11月20日

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労働争議のあっせん事例

労働争議のあっせん事例を紹介します。

事例1解雇の撤回を求めた事例

申請の概要

Aさん、BさんはC社に6か月の契約期間の臨時職員として勤務しており、これまで十数回契約が更新されていました。ところが、次の契約更新の1か月前に「あなた方が新人社員をいじめていたことが判明したため、次は契約更新しない」と通告されました。

Aさん・Bさんは、D合同労働組合(主に組合のない企業の労働者が個人で加入する労働組合)に加入し、指導のために言葉がきつくなったことはあるが、いじめはしていないし、これまで会社からいじめについて指導を受けたことはないため、契約を更新して欲しい等と主張し、団体交渉を続けましたが、交渉は不調に終わったため、D組合は契約の更新を求めて労働委員会へあっせん申請を行いました。

あっせんの結果

C社は、Aさん・Bさんによるいじめが原因で何人も退職している、前回の契約更新時にいじめをしてはいけないと指導したが2人とも従わなかった等と主張するなど、双方の主張の隔たりが大きく、決裂もやむを得ない状況でした。

あっせん員が、今後裁判等になった場合には膨大な時間や費用がかかることや、契約の更新ではなく金銭による解決を図る方法もあることを説明するなど、粘り強く説得した結果、双方から退職を前提とした解決金での和解に応じる意向が示され、事件は解決しました。

今回のポイント

  • あっせんは、裁判等と違って白黒の決着をつける場ではありません。話し合いの結果、双方が納得できる現実的な解決を図ることも可能です。

事例2勤務日数等の労働条件の不利益変更の撤回を求めた事例

申請の概要

EさんはF社に勤務することになりましたが、労働条件通知書は交付されていませんでした。ところが、採用から数年後、Eさんは勤務日数を大きく減らされてしまい、さらに、F社からささいな事項について、始末書の提出を求められるようになりました。

EさんはG合同労働組合(主に組合のない企業の労働者が個人で加入する労働組合)に加入し、Eさんの勤務日数等を含む労働条件についてF社と団体交渉を行いましたが、交渉は不調に終わったため、G組合は勤務日数を生活可能な収入が得られる日数に戻すこと等を求めて労働委員会へあっせん申請を行いました。

あっせんの結果

F社は、採用時に勤務日数の取決めはなく、Eさんの希望に基づいて勤務日数を減らしている、また、日頃からEさんの勤務態度が良くないので、文書で残すために始末書の提出を求めたに過ぎないと主張するなど、双方の主張の隔たりが大きく、雇用関係の継続は難しい状況でした。

そこで、あっせん員から、Eさんが退職することを前提とした金銭解決が可能か双方に打診したところ、双方とも応じる意向を示したため、金額等について歩み寄りを図った結果、双方から合意を得ることができ、事件は解決しました。

今回のポイント

  • トラブルを未然に防ぐためにも、労働条件は疑義のないよう明確にしておくことが大切です。
  • 労働関係諸法を知ることは、トラブルを未然に防ぐことにもつながります。
  • 仮に懲戒処分として減給処分を行う場合には、就業規則上の根拠が必要であり、聴聞を実施するなど、適正な手続を経て行う必要があります。

事例3団体交渉に応じること及び解雇の撤回を求めた事例

申請の概要

Hさんは、I社が運営する福祉施設に勤務していましたが、I社から、勤務態度に問題があるとして解雇を通告されたため、HさんはJ合同労働組合(主に組合のない企業の労働者が個人で加入する労働組合)に加入し、団体交渉を申入れました。

しかし、I社は、関係のない団体と話合う必要はないとして団体交渉を拒否したため、J組合は団体交渉に応じること及び解雇を撤回することを求めてあっせんを申請しました。

あっせんの結果

I社は、解雇予告の後にJ組合に加入したものであり、団体交渉を行う必要はないと主張していたので、団体交渉に応じる義務があることや団体交渉の意義等を説明したところ、I社は理解を示しましたが、解雇については双方の主張の隔たりが大きい状況でした。

その後、I社の解雇手続きに落ち度があることが判明し、I社は非を認めましたが、Hさんの解雇撤回は拒否したため、あっせん員が解雇を認めた上での金銭解決を双方に打診したところ、双方とも応じる意向を示しました。そして、あっせん員から給料額等をもとに一定額を試算し提示したところ、双方から合意を得ることができ、事件は解決しました。

今回のポイント

  • 解雇予告後に組合に加入した場合でも、会社は団体交渉に応じる必要があります。また、団体交渉は応諾するだけでなく、誠実に対応することが必要です。
  • 解雇を認めるという点で組合側が、一定の金額を支払うという点で会社側がそれぞれ歩み寄りを図ることで解決に至った事件でした。

参考:中央労働委員会による集団的労使紛争の調整事例と解説(外部サイトへリンク)

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