6 第 四 系

(1) 四 家 層 (2) 小林火砕流 (3) 通山浜層 (4) 小林流紋岩
(5) 高位段丘堆積物 (6) 末吉層及び都城層 (7) 霧島火山旧期溶岩 (8) 加久藤火砕流
(9) 加久藤層群 (10) 中位段丘堆積物 (11) 阿蘇火砕流 (12) 姶良火砕流
(13) 霧島火山新期溶岩 (14) 低位段丘堆積物 (15) 沖 積 層

霧島火山新期溶岩

 霧島火山の新期の活動は更新世後期に始まり、完新世に及んでいる。この活動は旧期の活動とは様相を異に市、各種の形態と構造をもつ約20の小火口丘を各地に出現させた。これらは地域的には北西方の韓国(からくに)火山群と南東方の高千穂火山群とに大別される。いずれも火山の原形が比較的よく保存されている。その大部分は輝石安山岩またはかんらん石輝石安山岩の溶岩および火砕岩からなる。このうち御池噴出の降下軽石は角閃石を含んでおり、夷守(ひなもり)岳にはスコリア層に挟まれてかんらん石玄武岩溶岩も見出される。夷守岳の大部分はよく成層したスコリア層からなるが、その中に挟まれる最初の溶岩は姶良火砕流の堆積直前に流出したものである。

 霧島火山の有史以来の噴火としては、天平年間(730年代)以降約60回の記録があり、明治21〜23年には著しい噴火があった。高千穂峰に接する御鉢は大正3年に爆発したことがあり、また最近ではその近くの新燃岳も昭和34年2月に爆発し、現在も噴気を続けている。このほか中岳・新燃・硫黄山なども活動がまったく休止してしまったとはいえない。霧島火山の活動は、海老野や硫黄山など多くの地域で噴気をもたらして地熱地帯を形成しており、また宮崎・鹿児島両県にまたがる地域で多くの温泉を生じている。

 なお地質図には省略してあるが、いわゆるローム層(日向ローム層)が県中部から鹿児島県にかけて広く分布している。これは火山灰層を主とし、その多くは風化しているが軽石やスコリアを混え、一般に霧島火山に近づくほどこれらの粒径が大きく、かつローム層全体の厚さも厚くなる。このうち黄橙色軽石火山灰層は俗にアカホヤ、黒色火山灰層はクロボク、降下軽石層はボラと呼ばれている。アカホヤは薩摩半島南方50kmの海上にある鬼界カルデラから約6,000年前に噴出した広域火山灰層である(町田、1977, p.194)。アカホヤ以外のローム層は、霧島火山より東方の地域では主として霧島火山の噴出物であり都城付近では桜島火山の噴出物の量が多い。