病原微生物情報 Vol.24,8, 2003
元明秀成、山本正悟、岩切 章、岩城詩子*1、齋藤信弘*2、齋藤義弘*3
*1消費生活センター、*2 宮崎県健康づくり協会、*3国立感染症研究所・ウイルス第3部第3室
2002年7月下旬から2003年5月にかけて宮崎県において地域的な麻疹の流行がみられたので、患者発生状況、病原体検出状況、および流行阻止に向けての取り組みについて、その概要を報告した。
1998年、2001年に続く流行で、九州各県の中でも最も大きな流行規模であった。
genotypeの同定を国立感染症研究所及び同所で検索したところ、すべてH1型であった。
2003年に麻疹と診断された患者から採取された咽頭拭い液52検体について、発熱とウイルス検出率の関係をみると、発熱39.0℃未満の患者からの検
出率は6%(1/5検体)であったが、発熱39.0℃以上の患者で59.5%(22/37)であった。また、検体採取日の病日の明らかな36検体について 検出率をみると、4病日以内で73.7%(14/19)、5〜6病日で40.0%(4/10)、7病日以上では28.5%(2/7検体)となり、4病日以内で発熱39.0℃以上の患者からの検出率が高い傾向があった。
都城地区の1市5町では小中学校生から麻疹ワクチン未接種の未罹患者(いわゆる感受性者)を選定して公費で接種することを決定し、予防接種を勧奨するなどの措置により流行には至らなかった。
宮崎県では、1992年から2年おきに比較的大きな流行がみられていたため、2004年に流行する可能性が高いと考え、その流行を阻止する目的で
2002年9月に県医師会、市町村、県などを実施主体として「みやざきはしかゼロ作戦(プロジェクト“M”)」という事業を立ち上げていた。このため、1年早く、且つ、例年より立ち上がりの早い流行に対しても、各機関の連携のとれた迅速な対応ができたと考える。