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発表・調査研究

宮崎県衛生環境研究所年報(2003年)

誌上発表・学会発表

麻疹流行地域における小中学生のワクチン接種状況と流行時の感受性者対策

病原微生物検出情報 Vol.25、1、2004

岩城詩子、山本正悟、斎藤信弘、鈴木 泉、坂田和宏*1、瀧口俊一*1、日高良雄*1、瀬尾のり江*2、 進藤義博*2、高橋明子*2、杉本隆史*2

*1宮崎県福祉保健部健康増進課、*2宮崎県都城保健所

宮崎県では2002年11月以降、都城市とその周辺地域を中心に麻疹の流行が発生し、2003年2月には都城市の高校などで集団発生がおこった。このため、都城・北諸県郡地域(都城保健所管内)において、2003年3月から全ての医療機関を対象に患者の全数把握を開始し、5月に小学生及び中学生の感受性者をアンケートにより確認して麻疹ワクチン緊急接種を実施した。

流行の終息した7月までの患者報告数は395例で、ワクチン接種歴有り86人(21.8%)、無し255人(64.6%)、不明54人(13.7%)で あった。年齢別では、0〜6歳の乳幼児125人(31.7%)、7〜18歳の小中高校生218人(55.2%)、19歳以上の大人47人(11.9%)、 不明5人(1.3%)であった。

また、感受性者の調査対象19,577人に対し、18,808人から調査票が回収され(回収率96.1%)、ワクチン接種歴のある生徒は15,610人(接種率83.0%)で、接種歴と罹患歴のない感受性者は1,090人(5.8%)であった。各市町は、感受性者と接種歴及び罹患歴の不明な者を対象に、5月18日から6月27日までの間に公費でワクチンを接種した。接種者は希望者1,206人のうち1,017人(84.3%)であった(10月3日現在)。

都城・北諸県郡地域では6月29日発症例を最後に流行は終息した。

今後、1歳代及び小学校入学前における麻疹ワクチン接種率を把握して、ワクチン接種の勧奨を適切に行い、効果的な啓発活動を実施したい。また、麻疹の発生を探知した際には、全数把握や情報還元を迅速に実施し、関連機関との緊密な連絡体制を構築していくことが最も重要である。


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