衛生微生物技術協議会 第24回研究会(平成15年7月10〜11日、福岡市)
河野喜美子、東 美香、齋藤信弘、鈴木 泉、 倉 文明*1、前川純子*1、渡辺治雄*1、八木田健司*1、 遠藤卓郎*1
*1国立感染症研究所
2002年7月、宮崎県において発生したレジオネラ症集団感染についての概要を報告する。
今回の集団感染では295名の患者の報告(疑いを含む)があり、うち7名が死亡した。当所における患者の検査では、24名の喀痰25検体の培養により3名から L.pneumophila 血清群(SG)1が分離され、75名の尿81検体についての Legionella Urine
Antigen EIA(Biotest)を用いた尿中抗原測定により12名、66名の血清124検体についてのレジオネラ血清抗体価測定(マイクロプレート凝集法)によ
り5名、計20名がレジオネラ症と確定診断された。他の検査機関で検査され確定された16名と合わせると、確定患者は2003年4月現在36名である。施 設については55検体を検査した結果、浴槽水、ろ材などからL.pneumophila SG1、SG8、L.dumoffii 等のレジオネラ属菌や多種類のアメーバが検出された。
さらに、患者および浴槽水から分離されたSG1株は、PFGE解析の結果、遺伝子型が一致し、同一起源株と考えられた。このことから、今回の事例は循環式温泉入浴施設を発生源としたレジオネラ症集団感染であると判断した。