第29回九州衛生環境技術協議会(平成15年10月9〜10日、那覇市)
東 美香、河野喜美子、齋藤信弘、鈴木 泉
*1国立感染症研究所
2002年7月、宮崎県において発生したレジオネラ症集団感染事例についての概要を報告する。医療機関より報告があった295名のうち、当所では入院患者を中心に95名について細菌学的検査を実施した。24名の喀痰25検体を培養し、3名から Legionella pneumophila 血清群 (SG)1を分離した。75名の尿81検体について尿中抗原を測定し23名が陽性、66名の血清124検体についてレジオネラ血清抗体価を測定し、9名
(SG 1:5名、L.dumoffii:4名)が陽性で、計32名がレジオネラ症と診断された。
施設の51検体の検査では、浴槽水、ろ材などからL.pneumophila SG
1、SG 8、L.dumoffii などが検出された。
患者および浴槽水から分離されたSG1についてPFGE解析を行ったところ同一の泳動パターンを示し、これらは同一起源と考えられた。以上の結果により、今回の事例は循環式入浴施設を原因施設としたレジオネラ症集団感染であると判断した。なお、今回の事例では他の検査機関でも患者の検査が実施され、14名がレジオネラ症と確定された。当所での32名とあわせると、合計46名がレジオネラ症と診断されている。