第124年会日本薬学会(平成16年3月29日、大阪市)
山本雄三、野村創*1、田中重雄、鈴木泉、山口忠敏*1
*1宮崎大学医学部
ジヒドロピラジン(DHP)類がDNA鎖切断作用、アポトーシスの誘導等の諸性質を有することを明らかにしてきた。DHPは、元々糖に由来する変化生成物であり、生体内で生成され、生体内に普遍的に存在することが予測されるが、そのDHP類の生体内の存在を定量的に明らかに
するため、LC/MSによるDHP類の測定方法の確立を目指した。
DHPは不安定な構造体であるため、DHP類そのものではなく、DHP類の酸化生成体であるピラジン環誘導体(メチルピラジン類6種)のLC/MSによる測定条件を設定し、固相抽出カートリッジによる精製条件を検討した。検体には、DHPが糖由来であることから、糖尿病患者の尿、血液を用いた。また、付け加えて、食品中のピラジン類の含有量の測定も行った。
6種のメチルピラジン類の定量のための測定条件は確立できた。しかし、今回、血清および尿について、測定を行った結果、メチルピラジン類は、検出されなかった。その理由は、体内ピラジン類の存在量がきわめて少ないことが考えられるが、さらにピラジン類の代謝過程、検体の保存方法の検討も必要と考えられた。