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掲載開始日:2024年2月9日更新日:2024年2月13日

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令和5年度知事とのふれあいフォーラム分野版(第2回)

内容

開催日時等

開催日時

令和6年1月31日(水曜日)午前10時20分から午前11時50分まで

場所

災庁舎441号室

テーマ

本県の半導体産業の発展に向けて

参加者

県の半導体産業に関わる産業界および教育関係者6名

ふれあいフォーラムの内容

 知事挨拶

  • 本日は、ご多忙の中、「ふれあいフォーラム」に参加いただき、感謝申し上げる。県政を進める上で対話と協働を重視しており、このフォーラムは、県民の皆さまと意見交換を行なう場である。
  • 今回のテーマは、「半導体産業」。半導体は、現在、日本全体として大きな注目を集めており、特に本県では、ローム株式会社の新工場が立地するなど、大規模な投資が行なわれ、雇用創出の効果が期待されている。
  • このような状況を踏まえ、本日は大学の先生方、現場で従事されている皆さま、産業界の代表者に集まっていただいた。本県は、第一次産業やスポーツなどがよく語られるが、第二次産業も重要なテーマであり、特に半導体は国家戦略上極めて重要な分野である。今後の本県における半導体産業の振興、特に人材育成について、皆さまの意見を伺い、共に考えていきたいと思う。

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 フォーラムの様子

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 主な意見など

1.半導体産業における人材のニーズと育成方法について

  • 半導体に関する講義は現状、座学が主体となっている。しかし、私たちの講義では、企業の方々に実際の技術を学生に説明してもらい、学生は直接半導体の設計やその性質を学ぶことができる。実践的な学習は学生の理解を深め、興味を引き出す効果がある。今後は、学部の講義でも企業の現場の話を取り入れ、また、学生が現場を訪れる機会を増やしていきたい。さらに、企業から提供されたテーマで卒業研究を行なう公募型の卒論も効果的であると考えている。学生が共同研究を通じて研究テーマを探求し、そのまま就職する流れが生まれることで、県内の人材確保につながると考えている。
  • 年間におよそ1,000人の半導体人材が不足している状況に対し、大学で半導体の講義を受けた人数は100名にも満たないというのが現状である。半導体に関連する学部・学科だけでは人材の不足は補えない。また、大学の講義では半導体の基本的な知識しか学べないため、パワー半導体や先進半導体などの専門的な知識を学ぶ機会はほとんどない。そのため、半導体が使われている分野を学生に示し、それらの分野に参入してもらうことが重要だと思う。それにより建築、土木、農学などの他の分野に興味を持つ学生にも半導体産業への参入を促すことができる。
  • 新入社員が半導体の知識を有しているか否かは重視していない。化学、工場内の作業、情報科学など、多様な分野で活躍する人材が必要である。最近、宮崎大学で講義を行ない、半導体の物質性について教えているが、半導体の物質性の講義があると、学生が半導体産業に興味を持つきっかけになると感じる。また、社内には新しく入社した学生がいるが、社内教育システムにより、彼らも半導体について学ぶことができる。私自身が半導体の知識を持たずにこの業界に入った経験から、学生が半導体産業について学び、成長することは可能だと確信している。
  • 半導体関連企業が求める人材については、特定のスキルや知識が必須というわけではない。応用物理学を専攻した者が企業で半導体や回路形成を学ぶ例や、化学を専攻した者が材料開発に従事する例などがある。電気・電子専攻の卒業生が多いという印象もあるが、特定の専攻が必須というわけではないと思われる。半導体業界では技術革新のスピードが非常に早く、製品のサイクルも速まっている。そのため、1年や2年前に学んだ知識が急速に陳腐化することもある。このような状況を考慮すると、社会人になった後も学習を続けられる人材が求められる。最近ではリスキリングという言葉も話題になっているが、企業としても社員が学習を続けられる環境を提供することが重要になる。このような取り組みを進めることが、半導体人材の育成に効果的と考えられる。
  • 特定の知識を必要とする人材を求めているわけではないと思う。最も重要なのは、熱意と興味・関心を持つことである。半導体業界は技術革新のスピードが非常に速いため、現状に満足せず、変化に対して好奇心を持って取り組むことが求められる。世界の最先端を目指すということは、それまで誰も経験したことのないことを体験するということである。そのため、理論と実態の検証によって問題解決ができる人材が求められると思う。
  • 県内の高校、大学、高専を含む教育機関の卒業生の定着率が低いという問題がある中で、半導体関連企業は、電気だけでなく、製品全体の製造プロセスに関わる人材を求めている。そのため、教育機関と半導体企業との連携を強化し、学生が半導体企業と接する機会を増やすことが重要である。また、宮崎大学が取り組んでいるように、高校生、高専生、大学生の間での連携を強化し、人材育成の取り組みを進めることが求められる。さらに、人材育成と定着に向けた施策を考える際には、宮崎県全体での取り組みが必要となる。

2.企業間の取引拡大や新たな投資について

  • 半導体産業は多岐にわたり、パワー半導体やAI半導体など、それぞれ異なる技術が求められる。それぞれの分野において、特定のテーマを設定し、そのテーマに基づいた施策を講じるべきである。また、半導体産業は工場建設や設備投資など、高いハードルが存在する。そのため、半導体産業に直接関与するというのではなく、人材確保の観点から、半導体関連の仕事に従事する人々に対する融資制度の設置や、住宅の提供などを行なうことで、人々が集まりやすくなり、他の企業も関与しやすくなると考える。
  • 半導体産業の強化に向けて、特定のテーマを設定し、そのテーマに基づいた投資を行なうことが有効である。日本全体で半導体のサプライチェーンを強化する動きがあり、北海道のラピダス社や熊本のTSMC社(台湾)など、前工程に注目が集まっている。しかし、半導体デバイスの製造にはウエハーの供給やテストなど、多くの企業が関与している。宮崎県としては、前工程だけでなく、後工程やウエハーの回路設計など、さまざまな工程に対する投資も視野に入れるべきである。
  • 半導体業界は多岐にわたる分野の支援が必要であり、自動車業界と同様の構造を持っていると考えられる。例えば、純水供給や排水設備などは、特殊な配管の開発が必要となる。また、既存の設備の維持・改善を行なう企業の支援も必要である。
  • 半導体産業は、精密機械の加工や製造装置の部品の精密加工、金属の表面加工など、多岐にわたる分野で県内の多くの企業が関与している。コストと品質は大前提であり、サプライチェーンマネジメントの観点からも、県内調達を一つの選択肢として検討する場を設けることが重要である。また、必要なものを県内企業に紹介するような制度があると有益である。「みやざき半導体関連産業人材育成等コンソーシアム」には24社の民間企業が参加しており、8割が宮崎県工業会の会員企業である。これらの企業以外にも多くの企業が存在するので、情報共有を行ない、Win-Winな関係を築くためのチャンスを提供する場を設けることが望ましい。
  • 半導体産業に参入できそうな企業は多く存在するが、その中には自社が半導体産業に関連可能なことに気づいていない企業も存在する。これらの企業を掘り起こすことは重要である。県内の企業は世界に誇れる技術を持っているが、それを知らない企業も多く存在する。そのため、情報共有を通じて、これらの企業が持つ技術を認識し、それを活用する取り組みが重要である。例えば、県内で大規模な投資を行ない、工場を建設したとしても、その発注先がすべて県外であれば、その意味は薄れる。そのため、自社が認識し、手を挙げることができる状況を作ることが重要である。また、先日、令和5年度の「半導体等先端技術振興プロジェクト事業」の中間報告を聞いたところ、繊維関係の企業がTSMC社から仕事を受けるという事例があった。これは情報一つで可能となった事例であり、このような事例を増やすことが重要だと思う。
  • 県内の企業は多様な技術と製品を持っているが、それが半導体産業と関連していることに気づいていない企業も存在する。このような企業を掘り起こし、情報をリンクさせることが重要である。コンソーシアムでのアンケートを通じて企業の技術や製品、ニーズを集約し、情報共有を行なうことで新たなつながりを生むことが期待できる。TSMC社の例を挙げると、地政学的な理由から台湾で製品を製造するよりも、材料をすぐに供給できる熊本で製品を製造する方が良いとされている。同様に、県内の企業が供給できるものがあれば、それを活用してつながりを深めることで、Win-Winの関係を築くことが可能である。

3.本県の半導体関連の産学官連携について

  • 現在、宮崎大学が事務局として「宮崎県産業人材育成プラットフォーム」を通じて産業人材づくりに取り組んでいる。また、高校生への指導や宮崎大学の先生による講義、現場見学など、多岐にわたる活動を実施している。しかし、これらの活動が全体としてどのように機能しているのか、また、どのような成果を上げているかについては、一部で心配の声が上がっている。特に、これらの活動がどのように行なわれているのかを、県民や学校の先生方に十分に理解してもらうための周知活動が必要だと感じている。そのためには、既存の取り組みを再構成し、整理することで、全体としての認知活動をどのように進めるかの戦略を再考する必要がある。
  • 半導体業界は一般の方々にとってなじみが薄く、その重要性が理解されにくいと感じる。次世代の半導体人材育成のために、子どもの頃から半導体業界に親しみを持つ機会を増やすべきだと思う。具体的には、県内の中学生や高校生を対象にした半導体工場の見学会の開催、半導体領域を学ぶ学科の設置、精密機械工学科やシステム工学科などで学べる機会の提供、理工学部の新設や理系大学の誘致するのが望ましい。最後に、県が半導体に注力していることを広く認知してもらうために、メディアを使ったアピールを積極的に行なってほしい。
  • 半導体業界の関連企業は多数存在するので、企業間や大学との交流の場を増やすことにより、互いの技術理解を深め、品質向上につながると思う。勉強会やワークショップの開催が有効だと思う。また、半導体への投資が高まる中で、県全体で人材獲得に向けたアピールを強化し、「ものづくり」に対する興味を喚起させた方がいい。自身が設計したデバイスが形になり、世に出て評価される喜びを、子どもたちにも共有できたらいい。
  • 半導体業界への理解を深め、人々を集めるためには、まず認知度を上げることが重要である。小学生や中学生にとって、目に見えるものづくり、例えば車や建物の製造はイメージしやすいが、半導体は普段目にすることがないため理解が難しい。そのため、社会科見学などを通じて半導体業界に触れる機会を提供することで、半導体についての理解を深めることができると思う。また、半導体の製造過程を見ても、具体的に何が作られているのか、どのように関わっているのかを理解するのは難しい。まずは半導体がどのように作られ、どのように関わっているのかを理解し、興味を持ってもらうことが重要であり、そのための学校との協力・連携も必要である。
  • 私は、ものづくりに興味を持った経験から、小中高生に対して、半導体などの製品や技術を触れさせる機会を提供することが重要だと考えている。そのためには、コンソーシアムや企業、大学などが協力して、ワークショップやテクノフェスタなどのイベントを開催することが効果的だと思う。また、教育現場においても、半導体に関する講義や実験を行なうことで、学生の興味や理解を深めることができます。しかし、現状では、大学と小中学校との連携が十分に行なわれていないと感じている。教育委員会を通じて、コンソーシアムから講師を派遣するなどの仕組みを作ることが望ましい。加えて、半導体に関する情報をメディアを通じて発信することも、関心を高めるには必要なことである。県でもSNSを活用して、半導体に関する情報を定期的に発信してほしい。
  • 宮崎大学には、令和7年度から半導体に関する教育と研究を行なう「半導体サイエンスプログラム」が設立される。産学連携の観点から見ると、半導体だけに焦点を当てるのは困難なため、人材育成を含め、コンソーシアムの枠組みを活用し、各自治体・企業と大学が強みを生かした取り組みを進めていきたい。また、「半導体」というキーワードは古いとの意見もあり、新しいキーワードを作ることも検討した方がいい。AIやDXなどの新しいトレンドに対応したキーワードが若者に刺さるとの意見もあり、これらの意見を踏まえ、多角的に取り組みを進めることが求められる。

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 知事総括

  • 本日の「知事とのふれあいフォーラム」における皆さまの貴重なご意見と情報共有に心から感謝申し上げる。限られた時間と人数の中で、多くの刺激的なアイデアが生まれ、関係者間の結びつきが深まったことを大変嬉しく思う。
  • 半導体関連産業、そして科学技術全般における人材確保は、私自身も非常に興味を持っている政策課題である。宮崎から新たな体制を進め、人材育成に取り組むことができればと考えている。
  • これからも、皆さまのご協力とご支援をお願いしたい。

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お問い合わせ

総合政策部秘書広報課広報戦略室 

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