宮崎県グラフ誌「Jaja」じゃじゃ

 

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都城 みやこのじょう

霊峰・高千穂峰を望む 島津発祥の城下町

金御岳公園
金御岳公園/ハンググライダ−やパラグライダーの絶好のポイントとして知られる金御岳公園。展望台からは霧島連山や市街地が一望できる。秋にはサシバの渡りを観察できる。

宮崎県の南西部に位置する都城市は、東を鰐塚山系、西を霧島山系に囲まれた広大な都城盆地の中にある。ひときわ目を引く高千穂峰は、「神の棲む山」と崇められ、ふるさとの象徴となっている。

島津発祥の地である都城は、古くから武道具づくりが盛んで、特に大弓(竹弓)は素材となる竹やハゼに恵まれたこともあり、全国の9割近くを生産する。

ほかにも木刀、さらに農産品としては、茶やらっきょう、ごぼう、焼酎などがあり、また豊富な地下水に恵まれていることなどから畜産業が盛んで、牛・豚・鶏の農業産出額は、全国の市町村でいずれもトップに位置づけられ、「畜産のまち」を築いている。

「日本のさくら名所百選」に選ばれた母智丘公園や、国の天然記念物指定の甌穴群を有する「関之尾滝」などの観光名所をもつ都城市が、近年積極的に取り組んでいるのが、藩主であった都城島津家の顕彰と歴史的価値の掘り起こしだ。

関之尾の滝と高千穂牧場とたちばな天文台
写真左)関之尾滝/大滝、男滝、女滝の3つからなる滝で、「日本の滝100選」の一つ。滝の上流には国の天然記念物である世界有数の甌穴群が見られる。 写真中央)高千穂牧場/搾乳や乗馬体験ができる観光牧場。動物ふれあいランド、乳製品工場、バーベキューハウスなどがある。乳製品やソーセージ、リキュールなどの土産品が人気。 写真右)たちばな天文台/星空がきれいな町として知られる高崎町にあり、500mm口径の大型反射望遠鏡で昼夜を問わず星の観察ができる。

昭和天皇も宿泊された由緒ある邸宅は、2010年に史料館を併設した見学施設としてリニューアルされた。11月には都城島津家をテーマにした「島津発祥まつり」も開かれる。

都城島津邸と霧島ファクトリーガーデンとしゃくなげの森
写真左)都城島津邸/都城島津家の邸宅で2010年3月に見学施設としてリニューアルした。肖像画や屏風など貴重な文化財を収蔵展示する都城島津伝承館を併設している。 写真中央)霧島ファクトリーガーデン/霧島酒造が運営する複合施設。レストラン、ショップ、地ビールの醸造施設などがあり、本格焼酎の製造工程も見学できる。 写真右)しゃくなげの森/世界のシャクナゲ500種類3万本が植栽される日本一のシャクナゲ園。食事処ではヤマメの塩焼き、ヤマメの卵(黄金イクラ)などを味わえる。

都城市の早水神社にまつられる髪長姫。あまりの美しさに応神天皇に召されたところ、皇太子(後の仁徳天皇)が父に願い出て妃とされたという。髪長姫の父は、諸県君牛諸井(もろかたのきみうしもろい)で、景行天皇との関連があったとされる泉媛の一族のようだ。日向の女性が天皇(天孫)に嫁ぐ話は、木花開耶姫(このはなのさくやひめ)とニニギノミコトに始まり、記紀には繰り返し登場するモチーフとなっている。これが南九州と畿内の結合を象徴するとすれば、どのような歴史的な事情があったものか興味をそそられる。

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